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<くらしのセーフティネット>
10. 住居を退去させられそうになったら
会社の寮や社宅は、使用者が従業員であることを前提として提供する
住居です。会社が所有している場合もあれば、借り上げの場合もあります。
解雇、雇い止め、派遣切りなどで仕事を失うと同時に、社宅や寮から
追い出されてしまう人が昨年来たくさん出ています。「クビになったら寮を
出るのは当然」なのでしょうか。
■すぐに出る必要はない
まず、不当解雇や期間途中での違法な派遣切りの場合には、そもそも、
労働契約関係が続いており、明け渡しに応じる必要はありません。
労働契約関係が終了した場合には、寮や社宅の使用料が無償または
著しく低額であれば、福利厚生の一環として考えられるため、原則として
寮や社宅の明け渡しをしなければなりません。もっとも、使用者には労働者が
いきなり路頭に迷ったりしないように配慮する義務があるため、一定の明渡
猶予期間を与えなければなりませんので、解雇と同時にすぐに退去を求める
ことは、配慮義務違反です。
■法律で守られる場合もある
社宅や寮の使用の対価として相当の賃料を支払っている場合には、借主の
保護を目的とした借地借家法という法律の適用があります。この場合、使用者が、社宅や寮の賃貸借契約を終了させるためには、「正当事由」が必要となります。
仮に、「正当事由」があったとしても、期間の定めがある場合には、使用者が
労働者に対して、期間満了の1年前から6ヶ月前までに更新をしない旨の
通知をする必要がありますし、また、期間の定めがない場合でも、契約の
申し入れから6ヶ月が経過しないと賃貸借契約は終了しません。この場合、
6ヶ月より短い期間の合意があったとしても、このような合意は無効となります
ので、社宅や寮をすぐに出ていく必要はありません。
■住居を失ったら
08年12月に、解雇や雇い止めで寮や社宅を追い出される危険性がある
人に対して、資金を貸し付ける制度ができました(「就職安定資金融資」)。
敷金や転居費用などを貸してもらえますので、ハローワークで申し込んで
下さい。
また、貯金がなく、生活ができない場合には、当面の住居を確保するために
生活保護制度を利用することも考えるとよいでしょう。
■家賃が1日遅れて追い出された
敷金・礼金のいらない「ゼロゼロ」物件で、家賃が1日遅れただけで鍵を
取り換えられ、家財を搬出されるなどの追い出し行為が問題となっています。
業者の中には住居ではなく、鍵を貸したと言う形式の契約にしている場合も
ありますが、法的には通らない主張です。
たった1日家賃が遅れただけで、立ち退きを求めることはできませんし、
鍵を取り換えることは「自力救済」といって、法秩序を無視した行為ですので
違法です。このような違法行為には、慰謝料等の損害賠償請求も可能です。
裁判で慰謝料などが認められた判決も出ています。
9. 借金が返せなくなったら
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