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<新しい貸金業法>
3. ヤミ金融業者について
司法書士 山本幸則
「ヤミ金融業者」とは
「ヤミ金融業者」とは、一般に、監督官庁に登録をしないで貸金業を
行ったり、出資法が定める上限金利(業者がお金を貸し付ける場合に、
借主からこれを超えて利息を取ったら犯罪ですよ、と定められている
金利のこと)を超えた金利で貸付けを行う違法業者をいいます。
出資法は、この上限金利を年利20%と定めていますから、これを超える
金利をとってお金を貸し付ける業者のことを「ヤミ金融業者」ということに
なります。
「ヤミ金融業者」の特徴
「ヤミ金融業者」には、
@ダイレクトメールや携帯メール、雑誌の広告や電柱の貼り紙(迅速審査、
ブラックOK)などによって、顧客を集める
A最初に貸すお金は、数万円程度の比較的少額である
Bたとえば、3万円借りて1週間で2万円の利息が付くような超高金利である
(年利換算で数百%、数千%、時に1万%を超える超高金利)
Cお金を貸す際に、必ず借主の情報を集める(借主、その家族、兄弟など
の氏名、住所、携帯電話番号、勤務先及び電話番号)
Dほとんど契約書は取り交わさない
E返済が滞ると、借主の他、家族や兄弟の携帯電話や勤務先に、執拗且つ
脅迫まがいの電話を入れ、強引に取り立てをする
こういった特徴があります。
このような違法業者を利用すると、一時は、数万円の現金を手にすることが
できるでしょうが、結果的に借主本人だけでなく、その周りの人々も強引な
取り立ての被害に巻き込むことになります。
「ヤミ金融業者」のあらたな手口
最近、街を歩いていると、電柱や建物の側面などに、「ショッピング枠の
現金化」とか「クレジットカードの現金化」といった広告を目にするように
なりました。
皆さんもクレジットカードをお持ちかと思いますが、クレジットカードには、
一般にキャッシング枠とショッピング枠があります。キャッシング枠とは、
決められた枠内であれば、指定のATMでお金を自動的に借りることが
できる機能ないし枠のことで、ショッピング枠とは、商品を購入するときに、
クレジットカードを提示することで、立替払いを受けることができる機能
ないし枠のことをいいます。
連載第1回目に、貸金業者は年収の3分の1を超えて個人にお金を貸す
ことができないという「総量規制」の制度について、お話をしましたが、既に
3分の1を超えて貸金業者からお金を借りている人は、たとえキャッシング
枠に余裕があっても、あらたなキャッシングをすることはできません。
しかし、ショッピング枠は貸金業法の規制対象ではないことから(総量規制
の適用がない)、これを逆手にとり、キャッシングをすることができなくなって
しまったが、ショッピング枠が残っているという人を顧客として、不当な商売を
する業者が現れました。
たとえば、新幹線のチケット30万円分をクレジットカードを使って購入
させて、そのチケットを20万円で買い取り、現金20万円を渡すとか、
クレジットカードで消しゴム1個を30万円という常識では考えられない金額で
購入させて、キャッシュバックと称して、現金20万円を顧客に渡すといった
手口です。
この手口によって、キャッシングできなくなってしまった人も、ショッピング
枠を利用して20万円という現金を手にすることができることになりますが、
代わりにクレジット業者に対し新たに30万円+手数料の負債を負うことに
なってしまいます。
また、クレジットカード会社との関係で、詐欺罪や横領罪に問われかねない
ことにもなります。
このような業者も、やはり「ヤミ金融業者」といってよいと思います。
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