**** 奥多摩の廃線跡(水根貨物線) ****

 国道411号線(青梅街道)を奥多摩駅から奥多摩湖に向けて走っているとどうにも 気になるものがあります。それは水根貨物線の今の姿でところどころにその遺構が見られるのです。
 青梅線の終点「奥多摩駅」は以前は「氷川駅」といいました。この氷川駅から奥多摩湖までの間に 小河内ダム建設のための資材運搬用に作られた鉄道があります。それが水根貨物線で、 奥多摩駅から街道の山側を橋とトンネルで縫うように走っていました。

Rev.1 2001年4月
Rev.2 2005年2月:追記
Rev.3 2006年4月:追記
Rev.4 2006年10月:追記


 JR奥多摩駅を下りると山側には奥多摩工業株式会社の氷川工場があります。 石灰石採掘をしている会社で辺りに活気のある音を響かせています。その工場の奥から一本のレールが出て、 短いトンネルを通った後に日原川をきれいなコンクリート橋(画面右下)で渡っています。 といってもここに列車の走ることはなく、廃線となった水根貨物線の今の姿なのです。
 日原街道側からは奥多摩工業とコンクリート橋が一望できます。下にあるマス釣場付近から この橋の上に登ると、残されているレールや、その先のトンネルが見られます。 ただし完全にふさがれていてキノコ栽培でもやっているようです。

 日原川を「Ω」の形で大きくカーブして渡り多摩川側に戻ってきます。

 南氷川の郵便局前の路地を登っていくとこのようなガードの下をくぐります。ここから奥多摩駅側には 立ち入りが禁止されているのですが、ダム方向にはレールに沿って歩くことができます。

 青梅街道は奥多摩の氷川から小河内に達し、さらに大菩薩峠を超えて甲府に至るところから 甲州裏街道とも呼ばれていました。奥多摩駅から小河内ダムまでの旧道は「奥多摩むかし道」という名で ハイキングコースとして整備されています。

 その「むかし道」は貨物線のレールを下に見、あるいは橋脚を上に見上げ、そして所々で トンネルを見て歩くことができます。
 国道から少し離れた小中沢の集落の上にはこのような橋脚が見られます。

 白髭神社の脇には石灰岩が断層ですっぱりと切れて覆いかぶさるようになっている都天然記念物の 「白髭大岩」があります。

 国道の白髭トンネルの下にも「むかし道」があってトンネル出口付近から上を見上げると 細身の橋脚が見えます。

 また国道からは惣岳(そうがく)トンネルの右手上方にも同様に見られます。

 中山トンネルを抜けた右側には見やすい位置での橋脚が見られます。 この左手にあるちょっとした駐車スペースが利用できます。(2005.2)

 正確には廃線ではなく、休止線だとか聞いたことがあるのですが、 かつて観光用に復活するような計画もあったのだということです。

 この場所では橋脚に向って登っていける道がついているので、注意しながら線路の上に立つことができます。

 奥多摩駅側には中山トンネルに並行するような感じで旧トンネル入口があります。 しかしこのトンネルは中でカーブしているらしく、とにかく真っ暗でとても入る気がしません。 (「むかし道」の一部が崩落した際にハイキングコースの迂回路として利用されたことがあります。)(2006.10)

 振返ると水根側にも短いトンネルがあります。30m程度で昭和27年、間組の施工であることが 表示されていました。小河内ダムの完成は昭和32年ですからその5年前です。

 入ってみると資材のようなものが無造作に置かれているだけで、国道の上のガードを渡って 終点の水根操車場跡に出ることができます。

 トンネル内から見た奥多摩湖のダム側に咲くさくらが印象的でした。  

 奥多摩湖駐車場の手前の水根バス停にガソリンスタンドがありますが、このあたり全面が 水根操車場であったようです。それほど広くはないですが。
 そして国道をまたぐようにしてガードが架けられていますがレールは撤去されていました。 奥多摩〜水根間は距離約5km、標高差180mです。 

 見るからにぼろぼろで危ないような気もしますが、しかし、下の国道ではかなり頻繁に車が通るのでした。

 役目を終えてから40年、相も変わらずその存在を主張し続ける橋脚、一方で徐々に奥多摩の 森の中に埋もれつつある錆びたレールは所々に顔を出して喘いでいるようにも思えます。

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