R.N.A O 放たれた カヲル
<R.N.A O meets P.O.P.O ジャケット>
R.N.A organism meets P.O.P.O はカヲルのデビュー作だ。80年(79年末とも聞いているが)、Vanityからリリース
された。幾何学模様のジャケも眩しい。阿木譲氏がPだ。
音の印象は一言で表すと「カヲル、今すぐそれ持って rough tradeに行ってクリア・カットに入れてもらえ」
というところだ。つまり「ステキ」なのだ。
こんなサイトを運営しているのに、恥ずかしい事だが、圭骸がこれを入手したのは83年末、そうYMO解散
イヤーだった。この時の衝撃は、、、と続けたいところだが、本当は「ほぅ、、、ふーん」と実に素っ気無い
ものだった。
アンディ・パートリッジ、フライング・リザーズ、ヤング・マーブル・ジャイアンツ、B-2 Unit等々、
聴いてしまったので、RNAに対する公正な感想が持てなかった。残念だ。これをリリース時に聴いていれば
その後のEP-4に対する考え方も、大きく変わっていた。
<RNA O インナー>
今現在、これは「ステキ」と言える。では、何を以てして「ステキ」なのか。圭骸が選んだ、ベストトラック
「SAY IT LOUDー」(B-Side Tr.1)を視聴して戴きたい。
D♯ーBのミニマル構成、それにギター・リフが被さる。このギター・リフがA♯のテンションコードなので
ただの「ミニマルでミニマム音楽」では終わっていない。カヲルのヴォイス・エフェクトも、トランシーバー
の様な、カヲル・SPだ(ハンサムガイのWAR HEAD)。
如何でしょうか。初聴の方も多いと察しますが、皆様の曲調予想は当たっていたでしょうか。
SAY IT LOUD- はEP-4の原型とも言えるトラックだった。
是非、これも試聴願いたい。アルバムラストのMATRIXという曲です。
カクテルピアノもゴージャスに。後ろのリズムボックスはDr.RHYTHMだろうか。
ここで不思議なのだが、カヲルはJBがアイドルだった。その人が何故、突然「こちら」に来たのか。
EP-4、これは解る。「汗をかかないファンク」、了解だ。
ではRNAの様な音響派作品は、何がトリガーになったのか。
それは毎度毎度小うるさいが、やはり「Robert Ashrey」にショックを受けたのだろう、と思う。
Ashreyの作品も、参考程度ですが試聴くださると幸いに思う。
カヲルをチンピラ呼ばわりするのも構わない。しかし「80年代最も創造的で、苦しんだ」と前に付けて欲しい。
失笑覚悟で記すが、佐藤薫が本当に伝えたかったのは、このRNA O の様なものだったのでは、と妄想する。
今、こういう音楽は無い。そして必要とされてもいない。その必要とされていない時代は味気無い。