人との初対面時、圭骸は物持ちが良いので「YMO、PLASTICS Tシャツ」を着たり
楽器にEP-4シールを貼ったり、チラッとサインを出す。これに「、、、それは」
と来ると、その人が年上だろうと偉かろうと、20年来の友人に会った様な気に
なる。さあ、そこから「ニュー・ウェーブ聞き取り調査」がスタートする。
聞きたい事は山の様にある。しかし時間も限られているので、涙を飲んで質問は
一つにする。それは
「何がきっかけで日本のニュー・ウェーブを聴きだしたか」
この一点である。
すると興味深い事に気付く。
漫画界のニュー・ウェーブ。こう書くと「あ、あれとあれか」と思い出す方も多いだろう。
そう、鴨川つばめ氏「マカロニほうれん荘」と江口寿史氏「すすめ!!パイレーツ」である。
前者は少年チャンピオン、後者は少年ジャンプ連載だ。これが、ガロやヘブンであれば
大きな影響は無い。しかしチャンピオンとジャンプなのだ。
「マカロニー」は登場1週目にして、大ブーム。発売翌日、教室でみんな「ちょーちょー」
言ってたのを思い出す。これにより、山上たつひこ氏「がきデカ」、吾妻ひでお氏「二人と5人」
のギャグ漫画は逼塞(皮肉な事に、YMOホソノ氏は山上たつひこの大ファン、ハンサム・ガイは
吾妻ひでおの大ファン)。マカロニは最終回周辺の前衛っぷりが、素晴らしい。「消えたマンガ家 新潮OH!文庫」
も併せて御覧頂きたし。
さて、もう一方の雄「すすめ!!パイレーツ」だ。「マカロニー」は、どちらかと言えば洋楽、プログレの
香りが強い。対して「パイレーツ」は、日本のニュー・ウェーブ専だ(クラフトワーク、ディーボ除)。
長々と引きずったが、最初に帰る。圭骸が気が付いた事とは何か。
それは、「ニュー・ウェーブの目覚めはパイレーツからだった」人が
かなりの割合でいらっしゃる、ということだ。
よく聴いてみると、「ほら、江口さんが休載した時に載ったでしょう、あれ、、、」違う。
「赤塚不二夫賞で最後の頁の自己紹介に、、、」違う。
答えは、「すすめ!!パイレーツ第8巻、立ち読みはいやよコーナーの
江口寿史のしゅみしゅみレコード」だ。
こう書くと、ああ、あれか、、、と懐かしく思い出して頂ける方も多い、と信ずる。
江口氏が80年1月から8月まで聴いたレコード(国内、国外)ベスト8である。
謹写させて頂く。
<国外編>
8.幻の果てに ヒューマンリーグ
7.スペシャルズ スペシャルズ
6.ミュージック・ファクトリー フライング・リザーズ
5.ヴィエナ ウルトラヴォックス
4.テイク・アウェイ アンディ・パートリッジ
3.システム・オブ・ロマンス ウルトラ・ヴォックス
2.ワン・ステップ・ビヨンド マッドネス
1.メタルビート ジョン・フォックス
<国内編>
8.ウェルカム・プラスチックス プラスチックス
7.マンディ・モーニング ブレッド&バター
6.イーティング・プレジャー サンディー
5.増殖 YMO
4.音楽殺人 高橋ユキヒロ
3.ブラッドライン 喜内昌吉&チャンプルーズ
2.ノーマル 一風堂
そして一位は、、、、
1.カメラ=万年筆 ムーンライダーズ
バラエティ豊かなライン・アップ。圭骸は洋楽の4位と6位にシビれる。
国内編は、フュージョンというかコンフュージョンというか、当時のケイオスな状態が
伺えて、興味は尽きない。「ブレバタ」と「カメ万」が共に記載されているのも、これ位であろう。
破壊的な影響力を持っていた「パイレーツ」。当時子供だった我々は「何だろ?」と思って
これらの蒐集に相努めた(初期型YMOに小学生ファンが多かったのも、このランキングの影響が
有った様に思う)。
当時、圭骸がお付き合いしていた女子との交換日記を読んでみた。
その子は、好きな芸能人ーYMO、オフコース、南こうせつ、たのきん、P-MODEL、
と書いていた。全て等価に捕らえていて、100点だ。しかし、この後どちらの道を選んだかで
色々な、本当に色々な事が違ってくる。
その後、国民的漫画、鳥山明氏「Dr.スランプ」でカリアゲ女子が、「♪へんなパーマネント」と段ボールの
曲を歌っていた事を友人から聞いた。