Element Power 4


 圭骸の手元に、黄色に変色した一枚の切り抜きがある。何の雑誌からだろう。


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 こんな時、自分の不精さを深く深く恥じ、そして後悔する。

 世の中には、本当に「資料整理」が上手な方がおられる。きっちりハサミで切り抜き、雑誌、新聞名は

 当然で、日付、関連記事、等々ぴしっとコクヨのノートに貼っておられる。

 深く嘆息する。

  一方、圭骸はベリッと破き、ダンボールに入れ終了、、、後は己の記憶で保管して補完する。

 「超整理術」なんて本も買った。買ったが、2日読まないと買った事を忘れる。そして「超整理術」は

 どこかに消える。


 さて、もっと「整理」について記したいが、本題に戻ります。

 その切抜きは、YMOの「ソリッドー」のレビューだ。謹写させていただく。

 「巷で噂の、イエロー・マジック・オーケストラ(通はYMOと呼ぶらしい。

何が通だか、よーわからんが(笑)」

 書いてて思い出したが、平凡パンチだったか、、、?GOROだったような、、、


 何故、このイヤミな切り抜きを持っているのか、思い出せない。

 だが、この記事あたりから「イエロー」という略称が「Y・M・O」に変わって行った、それは

間違いない。


 ここで言いたいのは、「イエロー」で「マジック」で「オーケストラ」だ。

 3つの単語とも、小学校高学年でも解る、外来日本語だ。

 それが「イエロー・マジック・オーケストラ」となると、全く意味が無くなる。

 あれから300月、このトリックを想うと鳥肌が立つ。

 なぜ、同じ人間でありながら、このような考えが浮かぶのか。圭骸なら「イエローバンド」位が

 せいぜいだ。


 そして、愛称が「YMO」で本当に良かった。今なら「イエマジ」か。「イエマジのウィンターライブさぁ、、、」

だと感じが出ない。軽い。

 そんな事ばかり考え、生きる僕だ。

 さて、掲示板にいつも書いてくださる、藤田さんが以下のように記してくださった。


 突然ですが、風化とは「名前」が忘れ去られる事ではないかと思うわけです。
ことにバンド名は時代感覚と切り離せぬため、後に思い出すのが恥ずかしい場合も多々ある。
このバンドが語られ続けるのは、EP-4という名前に力あるのではないかと妄想してます。
「いーぴーふぉー」と囁かれれば、間違いなくEとPと4が頭に浮かぶでしょう。
文字を目にした場合も、「いーぴー…よん?」と読む人間はまずいない。
このデジタルコピーのような伝播力がEP-4という名前の力で、この先まだまだ生き延びていく予感がします。


 これには、大きな衝撃を受けた。

 ちょっと先ほどの切り抜きに、併せてみよう。

 「巷で噂の、エレメント・パワー・4(通はEP-4と呼ぶらしい。

何が通だか、よーわからんが(笑)」

 こうなると、突然「親しみ」さえ感じる。


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 「イエロー・マジック・オーケストラ」は「イエロー」を経て「YMO」という、記号的愛称を受けた。

 一方「EP-4」は、初手から記号を出して来た。そこには、藤田氏曰く「軽い拒絶感」を受ける。

 それで良い。しかし「エレメント・パワー・4」或いは「アース・パワー・4」でも良いが、それらで

 活動していたら、どうなっていたか。

 そんな事ばかり考え、生きる。悪くない。


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