牧師室より

年末となり、教会はクリスマスを迎える準備中だが、世間は年の瀬の雰囲気である。先週は日本漢字能力検定協会により、世相を表現する「今年の漢字」として「税」が発表された。得票数で選ばれる仕組みらしいが、第二位は「暑」、第三位は「戦」だそうだ。私の若い世代の友人たちからは、「税」が世相を表す字という感覚がいま一つぴんと来ないという声を聞く。おそらく防衛費をめぐる増税論議、インボイス制度の導入、定額減税など複数の話題が影響しての選定なのだろう。驚いたのは、メディアにおいて、巷の若者の声として「楽」や「安」が今年の気分だと紹介されていたことだ。コロナ感染予防にそれほど気を使わなくなり、様々なイベントが復活し、マスクに神経質にならなくなって楽(らく)で楽しく、安心だというのだ。温暖化による気候変動や各地で深刻化する戦争、国内外の政治の混迷など、暗澹たる話題から人々は無意識に目をそらしているのだろうか。なんとも解せない気分である。(中沢麻貴)