牧師室より

先週の主日礼拝では「偶像から離れて」と題したメッセージを準備したが、「偶像」について書いてある本をたまたま見つけた。 『聖書の平和思想を現代にどう生かすか』(著者:大河原礼三、現代書館、2010)。著者の大河原礼三(おおがわられいぞう)氏は、元日比谷高校の教員で、「日の丸・君が代」に反対する教員として知られている。以前、私が関わっていた情報紙に寄稿していただいたり、集会で発言していただいたりしていたが、退職後に神学書を何冊も書いておられたのは、まったく知らなかった。学ぶ点が多々あると思い、彼の「偶像」に関する論説を紹介させていただく。 「偶像は権力の象徴であり、権力の支配を人々の心の中に植え付ける権威であったからモーセの十戒は第1戒と第2戒で偶像礼拝を禁止し、預言者は偶像礼拝と戦い、神殿・祭儀への厳しい批判を語っている。また、オリエント諸国では、王の先祖を神とする神話や、王を神格化する『神王イデオロギー』が多く見られるのに対して、聖書では神話は創世記の始め(1〜3章)にあるが、そこには、超越神信仰によって被造物神格化を拒否する思想があり」などとある。 日本もまた「オリエント諸国」の範疇にあって、「神王イデオロギー」制度を採用してきた。ロシアに見られる独裁的政治と民主主義が相容れないように、憲法14条が禁止している「特別な身分制度」を維持することもまた、平等原理に反し、民主主義とは相容れないと感じる。時代が動く中、教会は再びこの件に向き合う必要が生じている。  (中沢譲)