牧師室より

「聖書に学ぶ会」は隔月で「主の祈り」を学ぶ。政治学者でキリスト者でもある宮田光雄氏は、「主の祈り」についてこう語っている。「たしかに、『神の国』は『地の国』と同じではないし、『神の平和』は『地の平和』と同じではない。しかし、二つのものをまったく無縁なものとして峻別するだけにとどまることはできない。この歴史的=政治的現実のただ中で『積極的平和』が神の国の『しるし』として打ち立てられねばならない。その時、はじめて『御国を来たらせたまえ』という『主の祈り』を生きることができるのである」と語り、「ニカラグアの主の祈り」を紹介している。以下抜粋。  「御国を来たらせたまえ、飢えるものたちに、泣くものたちに、汝の正義を追い求めるものたちに、すでに何世紀にもわたって、人間にふさわしい生を待望する者たちに、御国がまもなく来ますように」。  かつてニカラグアのソレンチナーメに、エルネスト・カルデナールという神父が派遣された。ソモサ独裁政権が民衆を苦しめていた頃のことである。彼は農民たちと「主の祈り」を学びながら、「愛の国が来て、その日にはすべての人のために十分なパンがある」未来を思い描いた。  「御国を来たらせたまえ」という祈りが現実のただ中で祈られる祈りであることを知らされる。  (中沢譲)