牧師室より

昨年後半より映画鑑賞の機会が増えた。時間とお金を考えて足が遠ざかっていたのだが、『百花』を観て以来、街を歩いて映画館に赴き鑑賞する喜び再燃である。年末に観た『すずめの戸締り』に心揺さぶられ、年が明けてから『妖怪の孫』『教育と愛国』『愛国者には気をつけろ!鈴木邦男』『ハマのドン』を鑑賞。毎回、横浜市内のミニ・シアターでの鑑賞ついでに譲牧師への横浜ガイドと健康維持のウォーキングもセットだ。 『教育と愛国』に描き出された昨今の「愛国教育」なるものの実態と、歴史教科書をめぐる攻防は見ごたえ十分。『妖怪の孫』とセットで、日本人の歴史観が、この時代において試されていると気づかされる。 『愛国者…』は、型破りな政治活動家、鈴木邦男氏の晩年に密着したドキュメンタリー。『ハマのドン』は 横浜へのカジノを含むIR誘致に反対した実業家、藤木幸夫氏に密着したドキュメンタリー。鈴木氏と藤木氏は、立場を超えて人の話を深く聞く姿勢において共通していると思った。対話し読書する中から一個人として思想形成するありようを尊く感じた。また、『教育と愛国』も含めた三作品は、どれも監督が女性という点も印象的。話を引き出す対話力が作品の質を高めている。(中沢麻貴)