牧師室より

 冬も終わりの兆しが見え、気象予報に関東の平地でも雪マークが見られる季節になった。豪雪地帯の方々には申し訳ないが、ごく稀な、まとまった積雪は雪?きのチャンスで、これは好きな時間だ。数年前には坂道を上った少し先の医院の前までの道を、ほぼ一人で雪掻きした。スコップで雪を掻きつつ、その雪の置き場を考えるのが楽しい。人や車の出入り口を塞がない場所に、ゴミ集積場には行きやすいように、適量を適所に積んでいく。また、融雪が始まると溶けた水が流れるが、これが路面を凍らせる原因にもなるので、水が垂れる場所と歩行者の歩くところが重ならないように予測して雪を置くことが重要だ。雪掻きしながら通勤通学の人に声をかけたり、近所から同じように雪掻きしに出てこられた方と会話するのも楽しみだ。医院の入り口付近まで雪を掻き、坂の上の交差点まで掻いておこうかと目をあげたら、すでに交差点から医院の入り口付近までは誰かが雪掻きを済ませてくださっていた。雪掻きは、「外交」に似ていると、ふと思う。  外交より軍備に世の中の目が向く殺伐とした嫌な時代になった。細い通り道を、縦横無尽に確保するような、そのような思慮を含む外交を為す努力をしている人々を見出して、しっかり応援したいと、心より願っている。      (中沢麻貴)