牧師室より

最近、保守系の政治家や論客が、「平和ボケのお花畑な人」という表現を批判的な意味で使うことを知った。お花畑をメルヘンチックなものとして、「妄想、幻想、非現実」で「物事の本質を捉えておらず、妄信的に」憲法九条堅持や反戦平和を支持している人々を揶揄する表現らしい。  お花畑、たいへん結構な誉め言葉として頂戴しますと、私は言いたい気持ちである。お花畑をばかにする人は、本当のお花畑を知らないのである。多様性に満ちた植物群落が絶妙なタイミングで花々を咲かせ、多種多様な昆虫や鳥類がそこを訪れて受粉と結実に寄与し、さらには捕食者やここを隠れ家とする生き物たちが、実に複雑な適応戦略を繰り広げる場こそがお花畑なのだ。そこには多くの命が共に生きる絶妙な複雑系が成就している。これぞ平和共存のお手本かもしれない。また、最近の健康ブームでは、腸内フローラという用語をよく目にする。フローラとは要するにお花畑のことだ。腸内細菌の多様性を保ち、その中で健康管理に良い菌をバランスよく保持することが大切という認識が、定説となってきたのだ。私は、腸内フローラに少々自信がある。米国の論文で、腸内環境良好だと免疫力が高まるだけでなく、白髪になりにくいという調査結果もある。ミサイル増強よりお花畑強化を訴えたい。(中沢麻貴)