【2026年07月19日更新】

映画「張り込み」が蘇る


映画のロケ地になった大分宝泉寺温泉郷

 梅雨が明けて、家の周りでは蝉のオーケストラが始まった。真っ青な空に立ち上る真っ白い入道雲。テレビのニュースは、連日九州北部地方の猛暑を伝えている。暑すぎて、木立に囲まれた家々は、人が住んでいないかのように静かである。
思い出すのは、二十歳の頃、田舎の映画館で観た松本清張原作の「張り込み」のこと。今日と同じように、じりじり照りつける太陽の下、本来賑やかなはずの住宅街に人気はない。頭上から降り注ぐのは熊蝉や油蝉などの鳴き声ばかりである。映画は、東京で起きた殺人事件の犯人を追って、九州の佐賀に向かった警視庁のベテラン刑事と、若い刑事の二人づれ。刑事らは、犯人が、かつての恋人に会うため、必ず佐賀に現れると信じて遠い佐賀までやってきたのだった。恋人の家から見える宿屋に泊まり込んで犯人を待つ刑事二人。信じられないほどに気の長い張り込みである。
辛抱強い張り込みと、何の関係もないように見えるかつての恋人の、表情だけが延々と続く。。刑事と恋人を取り巻く背景は、どこにでもある閑静な住宅街と喧しいほどの蝉の大合唱だけであった。
映画が作られたのは1958年。張り込みを続ける若い刑事には大木実、ベテラン刑事は宮口精二。そして犯人の恋人で、現在では銀行員の若妻を演じるのは高峯秀子であった。出演者らの静かすぎる演技のことが忘れられない。若妻が犯人に会うために出かける温泉地のロケは、原作とはかけ離れた、大分県の宝泉寺温泉でだったと記憶している。その温泉は、ボクの「伝説紀行」で、何度もお邪魔している場所だったから懐かしさも伴う。そして、執拗にこの映画のことを覚えているのは、二十歳というボクの年齢だたろう。スクリーン上で何の変哲もない銀行員の妻が、恋人との再会のため、浴衣姿で精いっぱい女らしさををむき出しにする変身ぶりを演じる高峰秀子に、ボクは魅せられてしまったのであろうか。(2026年07月19日)


柳町、頑張れ!

 ボクのただ今の娯楽は、テレビでプロ野球を観戦すること。もちろん、地元ソフトバンクホークスを応援することである。ホークスの中でも、慶応大学出身の柳町達選手が大好きだ。何故かって訊かれれば、ヒットを打って、前のランナーをホームに返したときのあの笑顔が素敵だから。あの笑顔は、若い頃神宮球場で観ていた、大学野球の選手たちとまったく同じだからである。
もっともっと打率を上げて、不動のクリーンアップの座を勝ち取って欲しい。慶応大学には何の縁もないボクだが、何故かあの学生たちの真っ黒に日焼けした笑顔が好きだ。だから、柳町達君がひたすらにチームのために走り回る姿を観る度に、血が騒ぐのさ。(2026年07月12日)


ワールドカップにすっぽり

 日頃サッカーの試合にはほとんど興味を示さないボクだが、何故かこのところはまりっぱなしだ。ワールドカップのことである。大会は現在進行中なのだが、やっと26日に予選が終わって、日本はF組2位で通過した。それでも、関係者やマスコミは、「日本は優勝を目指している」と意気軒昂。
予選第3戦の26日も、ボクは朝早くからそわそわしていた。試合は思ったように「勝ち」に進まず、イライラが募る。冷静に自己分析すれば、完全に関係者とマスコミの術中にはまり込んでしまっているのだが。だってW杯を除いて、ほとんどサッカーの試合を観ないボクなのだから。出場選手だって、地元出身の長友など数人しか知らない。「キーパー以外はボールを手で触ってはいけない」ことくらいは知っている。そんなボクでも、ボールが自陣に押し込められると、テレビに向かって、「ボールを早く敵陣にもって行け」と怒鳴っている。
何なのだろうボクのようなサッカー音痴が、この時節だけ熱くなる原因は。それはやっぱり「俺は日本人なのだという民族意識」なのかな。屁理屈はいい加減にして、早く次のブラジル戦に気持ちを移行させなければ。(2026年06月28日)


なんのためのイラン攻撃

 フランスで開かれているG7七カ国首脳会議に、時期を合わせるようにして、アメリカのトランプ大統領は、イランとの戦争を終結させる覚え書きに調印すると言う。なんとも後味の悪い、米大統領のやり方である。
地元の西日本新聞は、今回の覚書調印を「何のための戦争だったのか」と、アメリカを厳しく非難している。今回の戦争は、もとをただせば、トランプが第一期大統領に就任早々、イランの核合意から一方的に離脱したことだ。自分以外の大統領の実績を一切認めようとしない彼のわがままが、後の悲惨なイラン戦争を引き起こしたと言っても過言ではないと、主張しているのである。彼を大統領に押し上げたアメリカ国民も、そこのところをよく考えて欲しい。
地球上で今この時も、ちまちまと暮らしている人類が、どうしてこのような我が儘大統領の犠牲にならなければならないのか。日本の為政者も、他人ごととは思わず、正義と法に則って主張してもらいたいものだ。(2026年06月21日)

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