No.012(m)
2021年10月24日
神さまの寄り合い住宅
五社神社の鳥居
一面水田広がる農業地帯 油山麓(あぶらやまのふもと=福岡市)の桧原四つ角(ひばるよつかど)に立つと、数百メートル先にこんもり膨らんだ森が見える。この地の鎮守の杜だなと容易に想像できる。どのような神さまがおいでか近づくと、「五社神社」という扁額が掲げられていた。つまりこの森には、住吉神・春日神・志賀神・神功皇后・玉依姫命の5神がいらっしゃるから五社神社というわけだった。そのほかにも、神社の境内には 、埴安神(はにやすじん)・垣安神(かきやすじん)さまもおいでだった。人気ある神さまが勢ぞろいなのだ。 多勢の神さまを揃える意味まで、表の看板には記してある。「五穀豊穣・商売繁盛・家内安全・安産・交通安全・無病息災等」のご加護があるのだから、この鳥居をくぐるだけで、人々の悩みはすべて解決するというわけだ。 周囲に碁盤の目の水路が 長い階段を登って下界を見下ろすと、隙間を見つけるのが大変なほどに住宅が密集している。それもモダンな戸建ての住宅や大規模な集合住宅ばかりだ。住宅の間を縫って、学校(西花畑小学校・花畑中学校)と自動車免許試験場が居座っている。
改めて「桧原地区」の歴史をめくってみた。案の定、この地域は数十年前まで一面田んぼだったのだ。そういえば、五社神社の周辺を散策していると、住宅の合間に申し訳なさそうに田んぼや畑が横たわっている。その田んぼをつなぐようにして、これまた用水路が網の目の如く伸びている。まさしく、広い広い水田を人が適当に区切って住宅を建てられたり、免許試験場を設けて街を造っていったわけだ。
|