ボクと親父のプリティウーマン

<第二話>

○ 街に朝が訪れる

○ 五郎の部屋・LDK
  五郎があたふたと朝の支度をしている。
  ソファで、智志が毛布に包まって寝ている。
五郎「智志(と起こす)」
智志「へ…(目を覚ます)」
五郎「行ってくるからな」
  と、出ていく。

○ 寝室
  みどりが気持ちよさそうに眠っている。

○ 駅
  朝のラッシュ時。
  階段を駆け下りてきた五郎が、地下鉄に飛び乗る。

○ 五郎の部屋・洗面所
  スーツに着替えた智志が、鏡に向かってネクタイを結んでいる。
  しかし、うまくいかなくて結び直す智志。

○ 銀座駅
  地下鉄が滑り込んできて、通勤のビジネスマンやOLが吐き出される。
  五郎が降りる。

○ 五郎の部屋・洗面所
  智志がネクタイを結んでいる。
  しかし、うまくいかなくて、また結び直す。

○ 銀座にあるオフィスビル
  五郎の会社のあるビル。
  五郎が入っていく。

○ 1階ロビー
  五郎が入ってきて、満員のエレベーターに飛び乗る。

○ 満員のエレベーター
  五郎の横に、五郎の会社でアルバイトをしている京子(23)がいる。
五郎「(京子に気づいて)おはよう」
京子「おはようございます」

○ 五郎の部屋・洗面所
  智志がまだネクタイにてこずっている。
  が、またうまく結べなくて、イラついてネクタイを洗面台に投げつけてしまう。
  智志が顔を上げると、鏡にみどりが映っている。
智志「……」
みどり「おはよ」
智志「おはよう」
  みどり、洗面台のネクタイを見て、向こうに行ってしまう。
  顔の汗を拭う智志。
  みどりが五郎のネクタイを持って戻ってきて、洗面台に腰掛け、
  智志の首にネクタイを結び始める。
みどり「おでかけ?」
智志「ウ、ウン…就職の役員面接」
みどり「ふーん…智志クン、何て会社受けるの?」
智志「住菱商事」
みどり「あー、知ってる。そこの松橋さんって課長さんネ、みどりの友達なんだよ」
智志「ホント?」
みどり「ホント」
智志「どうして?」
みどり「(ネクタイを結び終えて)できた」
智志「うまいね、どこで覚えたの?」
みどり「ゴロちゃんに教わったの」
  と、智志の頬にキスをする。
智志「えッ!?」
みどり「おまじない」

○ 五郎のマンション・玄関
  智志、靴をはこうとする。
  みどりが靴べらを渡してやる。
智志「ありがとう」
みどり「(ドアを開けて)そこまで送っていく」
智志「(みどりがまだパジャマなのを見て)いいよ、ここで」
みどり「そっか…じゃ、いってらっしゃい」
智志「いってきます」
  と、出ていく。
みどり「……」

○ 丸の内・オフィス街

○ 住菱商事・面接会場
  スーツ姿の学生たちが、面接の順番を待っている。

○ 会議室
  住菱商事の役員数人と学生数人が、向かい合って面接をしている。
  役員のひとりに、人事課長の松橋(37)がいる。
  学生のひとりに、智志がいる。
  松橋が智志に何か質問をする。
  智志が背を伸ばし、ハキハキと応える。

○ 住菱商事・廊下
  面接を終えた智志が歩いてくる。
  後ろから、松橋が追ってきて、
松橋「内村くん(と呼ぶ)」
智志「ハイ?」
松橋「今夜、何か用事はあるのか?」
智志「いえ、何もございません」
松橋「だったら、ちょっと付き合ってくれ」
智志「ハイッ!」

○ 五郎の会社・資料室
  書棚に並んだ多くの資料。その中で、アルバイトの京子が、資料の整理をしている。
  五郎が入ってきて、京子に気づく。
五郎「京子ちゃん、今日でバイト辞めるんだって?」
京子「はい…長い間お世話になりました」
五郎「君がいなくなると、寂しくなるよ」
京子「(突然怒って)嘘つかないでください!」
五郎「え?」
京子「迷惑だったんでしょ? 私がいると」
五郎「誰がそんなこと言った?」
京子「誰も言いません。でも、私がミスをするたびに、内村さんが
  あちこちに頭を下げてるの、私知ってました」
五郎「……」
京子「私のせいで、内村さんが遅くまで残って仕事をしなきゃ
  ならなくなって…迷惑だったんでしょ、私のこと?」
五郎「そんなことないよ。君を迷惑だなんて思ったことは一度もない」
京子「内村さん、うそつきだから」
五郎「嘘じゃないよ。おれも昔は、ミスばかりしてる仕事のできない男だったんだよ」
京子「え?」
五郎「ミスをするたびに上司に怒られて…何をやらせてもダメな男だったんだよ」
京子「内村さんがですか…?」
五郎「そうだ…くやしくてね…一生懸命がんばった。がんばって、
  がんばって、やっと営業部長になれた。でもね、仕事ができる
  ようになるにつれて、昔の仕事のできなかった自分が嫌いになっていったんだ」
京子「……」
五郎「だけど、ドジばかりしてる君を見て、そんな昔の自分が好きになれた。
  君のおかげで、昔の自分が好きになれたんだよ」
京子「……」
五郎「これは嘘なんかじゃない」
京子「優しいんですね、内村さんって」
五郎「優しくて言ってるわけじゃない」
京子「でも、みんな内村さんのこと優しいって」
五郎「優しいって言われるのは、あまり好きじゃない」
京子「どうしてですか?」
五郎「本当はやさしくないから」
京子「冷たい人なんですか?」
五郎「ドライアイスのようにね」
京子「え?(わからない)」
五郎「触るとやけどする…(おどけて)なんちって」
京子「(まじめに)でも、ドライアイスって、そばにあると気持ちいいわ」
五郎「え?」
京子「ずっと…ずっと好きだったんです」
五郎「え!?」
京子「今夜だけ、そばにいさせてください」
五郎「……」
京子「最後だから…」
五郎「……」

○ 公衆電話
  智志が電話している。
智志「もしもし、母さん? 今、面接が終わったよ…ウン…ウン、
  うまくいったみたい…そう…え? 来るって!? …ちょうど
  いい機会だからって…ちょうどよくなんかないよ。えッ!? 
  今夜!? …いいよ、来なくて。おれ、明日帰るんだから。大丈夫だよ。
     ひとりで帰れるよ…ほら、母さん、リウマチだって出てるんだから、
  あんまり出ないほうが…え? ムキになんかなってないよ…
  そんなことない。具合? 具合悪いことなんかないよ。
  だけど来ちゃまずいんだ」

○ 五郎の会社
  五郎が電話を取る。
五郎「はい、お電話代わりました、内村です…おぅ、智志か」

○ 公衆電話
  智志が電話している。
智志「ヤバイよ。オヤジ」

○ 五郎と智志の電話
五郎「どうした?」
智志「母さんが東京に出てくる」
五郎「何ッ!?」
智志「今夜、母さんが来るんだよ」
五郎「どうして止めなかった?」
智志「止めたよ…止めたけど、どうしても来るって」
五郎「うーん、まずい」

○ レストラン
  五郎と智志が向かい合って座っている。
  電話の後、二人は会って相談することにしたのだ。
五郎「ここに来る前、家に電話してみた」
智志「母さん、何だって?」
五郎「誰も電話にでなかった」
智志「もうでちゃったのかな…」
五郎「どうしてもっとちゃんと止めなかったんだ?」
智志「止めたよ。なんとかやめさせようとしたんだよ…だけど、
  あんまりムキになって止めるもんだから、母さん、
  なんか疑っちゃって…(だんだん語気が弱くなる)」
五郎「お前は昔から嘘が下手だったから」
智志「正直だってほめられてたんだよ」
五郎「そんなもの自慢になるか。もう少し大人になれ」
智志「大人だよ、もう」
五郎「子供だ」
智志「そんなことより、どうすんだよ、今夜?」
五郎「ウーン、困った」
智志「女と同棲してるなんてこと、母さんに知れたらどうすんだよ」
五郎「ウーン、困った」
智志「本当に離婚なんてことになったらどうすんだよ」
五郎「ウーン、困った」
智志「困ってないで、少しは考えろよ!」
五郎「ウーン、コマ…(また言いかけて)よし、こうしよう」
智志「何?」
五郎「智志、あのな(智志に顔を寄せる)」
智志「何だよ?(つられて五郎に顔を寄せる)」
五郎「お前が今夜、母さんに付き合え」
智志「何!?」
五郎「ホテルかどっかに泊まって、とにかく母さんを1歩もマンションに近づけるな」
智志「ダメだよ」
五郎「どうして?」
智志「おれは今夜用事があるんだよ」
五郎「デートか?」
智志「住菱商事の人事課長に呼ばれてるんだ」
五郎「断れ」
智志「何言ってんだよ。おれの将来がかかってるんだよ」
五郎「そうか…」
智志「オヤジが母さんに付き合えよ」
五郎「ダメだ」
智志「どうして?」
五郎「おれも今夜用事がある」
智志「デート?」
五郎「そうだ…いや、打ち合わせだ」
智志「ナニを合わせるって?」
五郎「大事な打ち合わせがあるんだ」
智志「休んじまえよ」
五郎「何言ってるんだ。おれの将来がかかってる」
智志「何の将来だよ?」
五郎「ウーン、困った」
智志「……」
  ふたりとも、腕を組んで考え込んでしまう。
  その姿が、いかにも父子らしくよく似ている。
五郎「仕方がない」
智志「ン?」
五郎「おれが母さんに付き合う」
智志「それがいいよ」
五郎「それにしてももったいない」
智志「打ち合わせが?」
五郎「そうだ」

○ レストラン・表
  話を終えた五郎と智志が出てくる。
五郎「これからどうするんだ?」
智志「夜までまだ時間があるから、いったんマンションに帰るよ」
五郎「そうか」
智志「じゃな」
  と、行こうとすると、
五郎「智志(呼びとめる)」
智志「何?」
五郎「母さんが来ることは、みどりには絶対に言うな」
智志「どうして?」
五郎「言えば、彼女はまた出ていく」
智志「出ていかせりゃいいだろ」
五郎「ダメだ。いいか、智志。あいつに一言でも余計なことを言ったら、
  お前とは親子の縁を切る。わかったな」
智志「……」

○ 五郎の会社
  五郎が帰ってきて、アルバイトの京子に近づく。
五郎「京子ちゃん」
京子「はい?」
五郎「悪いんだけど…」
  と、言いかけたとき、
アルバイトの女の子「内村さん、3番にお電話入ってます」
五郎「はいはい。(京子に)ちょっと待ってて」
  と、言って電話をとる。
五郎「もしもし、お電話代わりました、内村です。おぅ、お前か…ちょっと待ってくれ」
  と、電話を保留にして、別の部屋に行く。

○ 五郎の部屋の前
  智志がひとりでぶつぶつ言いながらマンションの廊下を歩いてくる。
智志「(ひとりごと)君のせいで、僕の家族がばらばらになりそうなんだ…
  だから、出ていってくれないか…君にだって家族がいるだろ? 
  家族を失いたくないだろ…君も家族のところに帰ったほうがいいよ。
  きっと両親も心配してるよ…よし、これでいこう」
  
  智志は、みどりを説得するための言葉を考えながら帰ってきたのだ。

○ 五郎の部屋・LDK
  智志が入ってくる。
  テーブルに伏していたみどりが顔をあげる。
みどり「おかえり」
  見ると、みどりの顔は涙でぐしゃぐしゃに濡れている。
智志「どうしたの?」

○ 五郎の会社・会議室
  五郎が保留にしていた電話を取る。
五郎「お待たせ。どうした?…何、今夜行けなくなった?(思わず笑み)本当か?
  …ウン…宮本さんのお兄さんが亡くなった…ああ、そうか…あの人まだ60代
  だろ…そうか、じゃ仕方ないな…思ってないよ、そんなことは。来なくて
  よかったなんて思ってないよ…残念だと思ってるよ…何!? それじゃ、明日行くって!?」

○ 五郎の部屋・LDK
  みどりが、智志の胸で泣いている。
みどり「実家に電話したの…智志クンとゴロちゃんのこと見てたら、帰りたくなって、
  実家に電話したの…そしたら、そしたら…」
智志「……」
みどり「お前みたいな淫乱の顔は見たくもないって」
  みどり、智志の胸で子供のように泣きじゃくる。
智志「……」
  みどりの肩にそっと手を置く智志。
  おずおずと、みどりの背中に手を回し、不器用にみどりを優しく抱きしめてやる。

○ 飲み屋街

○ 居酒屋 (夜)
  洒落た白木造りの飲み屋。
  カウンターで智志と人事課長の松橋が飲んでいる。
  松橋は酔っている。
松橋「内村君。僕はね、君を採用することに決めたよ」
智志「本当ですか!?」
松橋「いや、もちろん、まだ正式に決まったわけじゃない。だがね、
  僕は君が気に入った…気に入ったんだよ、君のことが」
智志「ありがとうございます!」

○ スナック街
    雑居ビルに鮮やかなネオンがずらりと並んでいる。
  「もう一軒行こう、もう一軒」という松橋の声がかぶる。

○ スナック
    雑居ビルの中にあるスナック。
  智志と松橋が入ってくる。
  「いらっしゃーい」「いらっしゃいませ」
  と、女の子達が迎える。
  智志と松橋が、ソファに座る。
  智志の目の前に、女のこが来て座る。
  智志が目を上げると、みどりだった。
智志「あーッ!(と思わず立ちあがる)」
みどり「あーッ!(と思わず立ちあがる)」
松橋「何やってるんだ、お前ら?」
智志「あ、あの…トイレはどこですか?」
みどり「出て右側」
智志「え、どこ、どこ、どこ…」
みどり「え、え、え、…?」
  智志、みどりを押していくような恰好で店の外に連れ出してしまう。

○ スナックの前
    智志がみどりを連れて出てきたところ。
智志「どうして君がここにいるの?」
みどり「働いてるの」
智志「ここで?」
みどり「そう。言ったでしょ、松橋さんと友達だって」
智志「よく来るの、あの人?」
みどり「ウン…口説かれてるの、わたし」
智志「あ、あのさ…悪いんだけど、僕と君が知り合いだってこと、
  ナイショにしてくれないかな」
みどり「どうして?」
智志「だってさ、スナックで働くような女と知りあいだなんて思われたらよくないよ」
みどり「そんなことないよ」
智志「とにかく、あの人に悪い印象を持たれたくないんだ。だから…」
みどり「智志クン、採用されたの?」
智志「まだ正式じゃないんだけどね」
みどり「おめでとう」
智志「ありがとう」
みどり「おまじないが利いたのかな」
智志「え?」
みどり「じゃ、今日は松橋さんにサービスしちゃおかな…」
  と、ドアを開けて、店の中に入っていく。
智志「いや、別にサービスしなくていいけど…」
  と、みどりを追って中へ。

○ スナック・店内
  智志と松橋がみどりたち女の子数人と飲んでいる。
  松橋、みどりにべったりとくっついて、
松橋「ねえ、みどりちゃん。ほんとにおれの愛人になる気ない?」
みどり「どうしよっかな…」
松橋「ダイヤでも車でもマンションでも、なんでも欲しいもの買ってあげるよ」
  と、みどりの脚に触れる。
みどり「ヤダーッ、イヤラシー(と喜んでるフリ)」
  その様子を向かいの席に座った智志が見ている。
松橋「おれって、いやらしいか?」
  と、みどりの脚をなでる。
みどり「ウン、イヤラシイ」
松橋「イヤラシイか?」
  と、みどりの内股に手を伸ばす。
みどり「えーッ、そんなとこ触るの!?」
  智志が見ている。
  突然、智志が立ちあがって、松橋の胸倉をつかみ、ぶん殴る。
松橋「(吹っ飛んで)内定取り消しだッ!!」

   *   *   *   *   *   *   *

  今のは、智志の空想だった。
  立ちあがったまま、呆然としている智志。
松橋「どうした、しょんべんか?」
智志「い、いえ…はい(とワケのわからないことを言う)」
松橋「何言ってるんだ、お前…女の子に囲まれてあがってんじゃないのか?」
智志「ハハハハ…(と、へつらい笑いをする)」

   *   *   *   *   *   *   *

  時間経過――。
  智志たちが、松橋の持っていた「性格判断ゲーム」をやっている。
  ある色からイメージされる女性の名前を言うと、
  その女性に対する感情がわかるゲームである。
松橋「じゃな、内村。紫は誰を思い浮かべる?」
智志「紫ですか…そうですね、お母さんかな…?」
松橋「おふくろか、お前! ハハハハ…」
  と、笑い出す。
女の子A「どうしたの?」
松橋「紫っていうのはな、セックスの対象なんだよ」
女の子達「えー!? キャハハハ…」
智志「……」
みどり「……(笑えない)」
松橋「お前、お前おふくろとセックスしたいのか?」
智志「そ、そんな、お母さんとなんか…」
女の子A「えー、お母さんだって。カワイイ!」
松橋「(笑いながら)おい、内村。ふつういい大人が、お母さんなんて
  言わないぞ。お前、もしかして、マザコンじゃないのか?」
智志「え?」
松橋「面接が終わったって、おふくろに電話したんじゃないだろうな」
智志「あ、あの…しましたけど…」
松橋「やっぱりマザコンだよ、お前。」
  と、大笑いする。
松橋「母親の言いなりになってんじゃないの。お母さん、僕どうちまちょ、
  わかんないでちゅ、おかあさん、ってか?」
  女の子達も松橋と合わせて笑う。
智志「……(呆然としている)」
みどり「……(智志を見ている)」

○ 五郎のマンションの前
  タクシーが来て、止まる。
  みどりが、智志を抱えるようにして降りる。
みどり「大丈夫?」
智志「……」
  智志、ちゃんと歩けないくらい傷ついて、酔っている。

○ 五郎の部屋・寝室
  みどりが、明かりをつけて、智志を支えながら入ってくる。
  みどり、智志をベッドに座らせる。
智志「……(まだ呆然としている)」
みどり「大丈夫?」
智志「……」
みどり「気にすることないよ。あんな人たちの言うことなんか…気にすること
  ないよ。智志クン、お母さんのこと大切に思ってるんだもん。気にすることないよ」
智志「僕はマザコンじゃない(突然言い出す)」
みどり「え?」
智志「僕は言いなりなんかじゃない」
  と、みどりを挑むような目で見る。
  いつのまにか智志の目には、母親とみどりが同じ「女」という共通項で
  結ばれてしまっている。
  女(母親)に支配されているかもしれないという屈辱に耐えられない智志は、
  女(みどり)に挑みかかる。
  智志、みどりをベッドに押し倒し、にらみつける。
智志「僕はマザコンじゃない」
みどり「……」
  智志がみどりに襲いかかる――。

○ 五郎のマンションの前
  タクシーが来て、止まる。
  五郎が降りてくる……。

第二話おわり。最終話につづく。