メールマガジンに戻る


ブロードバンド時代と顧客情報有効活用

(´ー`)ノ< こんにちわ、吉川幸雄です。

前号に引き続き10月12日に行われた「IBM次世代進化フォーラ
ム」の講演ダイジェストをお届けします。

今回は「顧客対応力強化」をテーマに行われた株式会社デオデオ取
締役妹尾芳隆氏の講演ダイジェストです。
講演タイトルは「ブロードバンド時代と顧客情報有効活用」です。

デオデオは、中国・四国・九州地区を中心に店舗展開している家電
量販店です。
IT時代に対応してISP事業やFWA回線の提供事業等ネット
ワーク事業にも積極的に進出しています。

デオデオホームページ
http://www.deodeo.co.jp/

──────────────────────────────
◇ネットワーク経済を制するビジネスモデル

パソコンの小売だけでは付加価値を付けられないため利益をあげら
れない。そのため、

(1)製品とサービスのバンドリング
(2)顧客との接触頻度の高い事業の組み込み
(3)顧客情報の蓄積

によって、利益を確保していく必要がある。

<デオデオの粗利益率>
        2000年  2001年(計画) 顧客との接触頻度
PC      8.4%    7%       1/2〜5年
周辺機器    17.5%   15%       2/年
ソフト     22%    20%       3/年
サプライ    26%    26%       6/年
インターネット 35%    55%       12/年

顧客との接触頻度が高いほど利益率も高くなる。

──────────────────────────────
◇ワンストップサービス

顧客のニーズはワンストップサービス。一般の人は、欲しいものは
欲しいときにすぐに手に入れて使いたい。

電気店でパソコンを買って、家に帰ってプロバイダと契約し、メー
ルアドレスがもらえて使えるようになるのは一週間後だというので
は、サービスとはいえない。

今、パソコン購入の目的はインターネットであるが、デオデオでは、
客がインターネットをしたいと思えば、当店に来て、その場でパソ
コンが買え、プロバイダの契約を済まし、すぐにメールアドレスを
もらえてすぐに使えるようになる。

デオデオの本拠地である広島では、NTTとの契約でISDN回線
は即日開通できるようになっている。

(1)PC・ソフト・周辺機器、
(2)ISP(プロバイダサービス)
(3)FWA(通信回線)
これら3つをトータルに提供することによって、顧客の利便性を高
めることを狙っている(トータルソリューション)。

デオデオのISPで顧客にメールアドレスを提供することによって、
電子メールを使った広告が容易になる。
さらに、購買履歴情報を組み合わせることによって、買い替え時期
にあわせて適切なタイミングで個々の顧客に向けて広告を打つこと
が可能となる。

<余談>
最近ADSLの普及が著しいと言われているが、現場から見ていて騒が
れているほど浸透していないと言う印象。技術的にも2〜4年で光
や無線と切り替わっていくだろうと見ている。

──────────────────────────────
◇デオデオの顧客データベース

デオデオでは、10年間の蓄積によって、現在1,513万人の顧客情報、
1億件の取引情報を持っている。

例えば「あんま機」は、それを使う高齢者自身が購入するよりも若
い人がプレゼントとして購入するケースが多い、ということも顧客
情報を分析することでわかる。

また修理履歴を見ていると買い替えのタイミングもわかる。

こうした購買履歴情報を生かしたDMの効果は高く、従来と比べて
DMのヒット率が2倍になった。

──────────────────────────────
◇「製品」の提供から「効用」の提供へ

人はテレビ受像機が欲しいからではなく、テレビ番組を見たいから
テレビを買う。パソコン自体が欲しいのではなく、インターネット
がしたいからパソコンを買う。

「物売り」から「生活提案・問題解決企業」へ。
家電小売業というのは、消費者の生活価値観を見ることができる業
種である。消費者のニーズを間近に見ることができる。
顧客情報の分析によってメーカーに対して商品・製品アイデアの提
案もできる。

──────────────────────────────
◇ブロードバンド革命の本質

(1)デバイスフリー(どこでも)
(2)ネットワークフリー(なんでも)
(3)タイムフリー(いつでも)
(4)リレーションフリー(誰とでも)

一般の人が放送局となって知識・情報を発信する時代になる。

<ナローバンド時代の逸話>
ナローバンド時代には静止画カタログよりも印刷カタログのほうが
はるかに画質が上質であった。それなのにわざわざインターネット
上に悪い画質の静止画カタログを作り、それで「売れない」とぼや
く人たちもおおぜいいた。

──────────────────────────────
◇コミュニティの存在が重要になる

これから、ハードやソフトはグローバルに。ネットワークやコミュ
ニティはローカリゼーションになっていくのではないか。

人々をインターネットにひきつけるのは娯楽情報ではなくコミュニ
ティの存在だと思う。
iモードのヒットは、メールがキラーコンテンツとなり、コミュニ
ティ形成に使えたからだ。

これからはパソコンがネットワークサービスに従属するだろう。

──────────────────────────────
◇講演を聴いて

さすがに販売の現場で顧客と直接関わっている企業の方の話は具体
的で説得力がありました。

>「物売り」から「生活提案企業」へ。
付加価値の付けられないハード販売からサービスの提供へ。最近大
手電機メーカーの動向とも一致しています。

>これからはパソコンがネットワークサービスに従属するだろう。
一昔前のPHSが1円で売られていたように、付加価値の高いネッ
トワークサービスを提供するためにハードがさらに安くなっていく
ことが予想されます。

灰色の脳細胞の使い甲斐のある時代になってきました(笑)。

皆様からのご意見、ご感想をお待ちしています。
それでは、また来週。(´ー`)ノ