(´ー`)ノ< こんにちわ、吉川幸雄です。 前号に引き続き10月12日に行われた「IBM次世代進化フォーラ ム」の講演ダイジェストをお届けします。 今回は、情報共有基盤強化をテーマに行われた有限会社システムズ リサーチ代表取締役吉田繁治氏の講演です。 講演タイトルは、【これからの有効な「情報共有化」と「組織」の 課題】です。 吉田氏をご存知の方はあまりいらっしゃらないかもしれませんが、 まぐまぐのビジネス部門で第11位、発行部数13,037部(01.10.14現 在)を誇るメールマガジン「ビジネス知識源:経営の成功原理と実 践原則」の発行者です。 http://www.mag2.com/m/0000048497.htm 「ビジネス知識源」は私も購読していて、毎回示唆に富む有益な情 報、知識を無料で届けていただいています。今回のフォーラムの参 加も吉田氏が自身のメルマガで紹介されていたことが理由です。 ────────────────────────────── ◇従来の組織形態の問題点 従来、情報はトップマネージャーだけが持ち、トップが判断した内 容を現場に指示・命令する形態であった。作業目標と、作業方法を 与えて統制するいわゆる「軍隊型組織」である。 この組織形態は、変化の少ない経営環境の中で長期量産や量販に適 合し、日本の高度成長を支えた組織形態であった。 しかし、社会経済環境が激しく変化する現代ではこの組織形態では 変化のスピードに対応できなくなっている。 本部統制型組織では、現場で売れるものと売れる原因が見えない。 例えば、1店舗で5万品目を扱う小売店のPOS情報はおよそ1666 枚の帳票となり、1枚5分で処理したとしても139時間かかる計算 になる。 つまり、毎日の売上の変化を本部統制で処理し、判断することは物 理的に不可能。 現場を一番知っているのは現場のスタッフである。だから現場のス タッフに権限を委譲し、現場のスタッフに判断・行動させる組織形 態が必要である。 ────────────────────────────── ◇<次世代進化型>経営組織のヒント 次世代型組織のヒントとして、セブンイレブンに代表されるフラン チャイズ型組織が挙げられる。 フランチャイズ型組織は、 (1)本部会社とフランチャイジーは相互に自律し、 (2)目的、戦略、リソース、情報は共有化、 (3)全体情報を本部で分析し現場に提案、 (4)現場は本部からの全体情報と現場の個別情報を組み合わせて 実行する。 つまり、現場に裁量権を与え権限を委譲することによって、情報を 有効活用し、変化に迅速に対応できる経営組織ができる。 * * * * * * * * * * * * * * 10月18日の日経に次のような記事が掲載されていました。 都合のいい偶然というのは起こるものですね。(笑) ※2001.10.18日本経済新聞 イトーヨーカ堂は、優秀なパート2,3人をリーダーに任命し、売 り場の演出から仕入計画の立案までをまかせる「リーダーパート ナー制」を導入。時間給を割増すなど優秀なパートにインセンティ ブを与え店舗競争力を高める。 * * * * * * * * * * * * * * 小売ではパートが70%を占めている。正社員は保身のためリスクを 冒さない判断をする。そのため、パートに権限と情報を与え、判断 させることによって競争力を高めることができる。 ────────────────────────────── ◇90年代後期の米国でまとめられた経営思想 90年代後半、ITへの積極投資と共に、米国企業では経営概念自体 を変えてきた。 (1)サプライチェーンにおけるwin-winの概念 →顧客に対して目的を一つにする戦略同盟 (2)商品品質経営のTQCを補完する顧客中心経営 →CSからCRMへ (3)統制型経営から分権型リーダーシップ経営へ (4)ステークスホルダー経営 →ストックオプションなど株主、社員、顧客、社会との利益共 有化を図る ────────────────────────────── ◇リーダーシップ&チームワーク型組織へ 現場では、すでに過半がモノの加工や運搬といった定型作業から情 報作業に移行している。 情報作業のマネジメントは、トップダウン型の統制は困難。 これからはリーダーシップ&チームワーク型組織への転換が求めら れる。 リーダーシップ型経営組織を実現させるためには、 (1)経営目的(ミッション) (2)Value(優先して守るべき価値) (3)戦略(ゴールへ到る設計図) (4)リソースとインフラ をチーム内で共有していくことが必要。 さらに、目標・予算・期限への契約(コミットメント)を明らかに し、実行プロセスでの経過解析、対策の立案(レスポンシビリテ ィ)を行い、結果の説明と反省責任(アカウンタビリティ)を明確 にすることが必要となる。 リーダーシップ精神とは、 (1)チームメンバーを成功に導き、その成功を心から喜べること (2)チームメンバーに、自己目標を内化させ、その達成を助力 (コーチング)していくこと。 小出監督は高橋尚子選手にオリンピックでの金メダルや世界最高記 録の達成という目標を、彼女自身の目標として内化させ、その達成 のための技術を与えた。 ────────────────────────────── ◇講演を聴いて 講演は、吉田氏がこれまでメルマガの中に書いてきたことをダイジ ェストで話すといった内容でした。 講演の冒頭で、米国同時テロ以降の経済環境についての話がありま した。吉田氏によると、すでに「戦時経済準恐慌」に入ったとのこ と。恐慌といっても、経済が進化し、国際協調が期待できる現在で は1929年のような厳しい状況にはならないだろうとおっしゃってま した。 厳しい見方ですが、私もそれに近い感じを持っています。 楽観できる状態ではない。 吉田氏のメルマガで記されているリーダーシップ論やCRM、SC M、経済分析など幅広く深い知識に基づく洞察は、とても刺激にな ります。 吉田氏のホームページ「cool-knowledge.com」ではメールマガジン のバックナンバーと、過去の論文が読めます。 一度訪ねてみてはいかがでしょうか。 http://www.cool-knowledge.com/ 皆様からのご意見、ご感想をお待ちしています。 それでは、また来週。(´ー`)ノ |