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流通業の変革

(´ー`)ノ< こんにちわ、吉川幸雄です。

日本チェーンストア協会が24日発表した2001年の全国スーパー売上
高(既存店ベース)は前年比5.2%減。住居用品、衣料などの値下
がりが響いた。

全国スーパー売上高(2001年)単位:億円
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食料品:84,595(前年比−2.5%)
衣料品:26,638( 〃 −7.6%)
住居関連品:32,949( 〃 −7.1%)
サービス: 1,544( 〃 −1.9%)
その他:13,377( 〃 −11.9%)
総 額:159,377( 〃 −5.2%)
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日本経済新聞2002.1.25

長崎屋、マイカル、ダイエー、そして米国のKマート。
70年代から80年代にかけて栄華を誇ってきた大手流通業者が次々の
舞台から消えていきます。

要因として、消費の二極化がいわれ、日用品や衣料はスーパーより
も安い100円ショップやユニクロで購入し、本当に欲しいぜいたく
品はブランドショップで購入する。

「モノはたくさんそろっているが、買いたいものがない」
ダイエーの中内社長が言ったように、消費者の嗜好の変化に対応で
きなかったことが大手流通業者の敗因と考えられています。

消費者の変化に対応できなかった要因として、本部統制−現場マニ
ュアル型チェーンであったことが挙げられています。

「現場は本部の言うことだけをやっていればよい」

都心の一等地に高層ビルを建て、その高層階から虫けらのように見
える下界の庶民を眺めていては、消費者の変化に気づくわけはあり
ません。

私は池袋にあるサンシャイン60の高層階に事務所を構えるクライ
アントの仕事をしていて、よく高層ビルに出掛けます。耳がツーん
となるエレベーターを降り、下を眺めると、本当に自分が神にでも
なったような気持ちになります。

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◇スーパーがなくなった地域

大手流通業者の退場の結果、多くの店舗が閉鎖されています。
経営再建策として、あるいは企業売却の条件として赤字店舗が閉鎖
が求められるからです。

皆さんの町ではどうでしょう? これまで利用していた近所のスー
パーがなくなったという読者の方も大勢いるのではないでしょうか。
そして、買い物が不便になって困っている方もいるのではないでし
ょうか。

赤字店舗といいますが、その店舗が所在した町の消費者にとって、
不要な店舗だったのでしょうか。

その町の消費者は、肉や魚や野菜やトイレットペーパーを必要とし
なくなったのでしょうか。そんなはずはありません。

必要とされなくなったのは、従来型のスーパーという業態であって、
食料品や日用品を気軽に安く購入できる場所は必要とされているは
ずです。
つまり大手量販店が撤退した地域には、食料品や日用品を手軽に購
入できる店舗が必要とされています。

これがビジネスチャンスです。

とはいえ、これまでと同じ業態で、同じ商品構成で新たにスーパー
を出店しても、結果は同じでしょう。
新たなビジネスモデルが必要です。

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◇流通の新たなビジネスモデル

流通のビジネスモデルとして、米国のウォルマートが取り上げられ
ています。以下、購読している有料メルマガ「ビジネス知識源プレ
ミアム」から転載します。

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http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?keyword=P0000018

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ウォルマートは、

(1)米国の製造業が、世界的に比較したコストで高くなったから
  アジア商品の集荷調達を行なった。
(2)コストの高い国内でPB開発し在庫リスクを抱える(シアー
  ズ、Kマート型)より、アジアの工場から集荷する商品を次々
  に変えたほうがいい、とした。
(3)国内のメーカーと中間流通では、POSデータを使うクロス
   ドック・センターを整備した。

▼クロスドックの仕組み

メーカーは、ウォルマートのリアルタイムの売上データ、在庫デー
タを見て、生産計画、出荷計画を立てる。メーカー出荷の段階で、
あらかじめ店舗別に出荷梱包をする。

クロスドック・センターでは店舗のあて先のバーコードを読み取り、
ソーターで自動仕分けをして、店舗別の配送トラックに積み込む。

店舗では、それを開梱し、連続的に棚補充をする。
これによって、店舗の発注作業が最小になった。

80%くらいの発注作業は自動化できる。POSデータ通りの発注
でいい。変動が定型的にならない20%くらいの部分は、店舗が判
断を加える。

これはCAO(Computer Assisted Ordering:コンピュータ支援発
注)と呼ばれた。

クロスドック・センターは、店舗の発注と棚作業に必要な、技術と
必要総人時を減らした。

ウォルマートは1990年に小売業の売上高で世界最高になった。
当時の売上は326億ドル(4兆2千億円)だった。それが、20
01年には、2000億ドル(26兆円)を突破する。90年代で
6倍、年率で18%の総売上を伸ばした。

90年代の成長を促したのは、スーパー・センターのQR、クロス
・ドックセンターの仕組みだった。

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◇日本ではどうするか

昨日(24日)、銀行・財閥の系列を超えて、明治生命と安田生命の
合併が発表されました。金融界では生き残りをかけ合併統合の動き
が今でも続いています。

流通業においてもこうしたダイナミックな合併統合が必要です。
中国をはじめとするアジアからの輸入、そしてクロスドックセン
ターを中心としたSCMの活用によって、効率的な店舗運営を図る
業態の開発が必要でしょう。

【小売上位10社合計での、総小売り寡占率の比較】

日本の大手10社(ダイエー、IY堂・・・・)      8.8%
米国大手10社(ウォル・マート、クローガー・・・)   16%
英国大手10社(テスコ、セインズベリー・・・)     38%
フランス大手10社(カルフール、アンテルマルシェ・・) 42%
ドイツ大手10社(メトロ、レーヴェ・・・)       47%

国内流通業者の零細性、そして複雑な流通経路はかなり以前からそ
の弊害が指摘されてきましたが、改善はされてきませんでした。自
民党一党独裁による票田であったという事情もあったのでしょう。

これが変わろうとしています。大手流通業者の破綻、零細卸、商店
の倒産、これらの変化の後、大手流通業者による合併統合が起こる
でしょう。

こうした動きの中で、私、そして読者の皆さんはどう関わっていく
のか。関われるのか。世の中で起きていることの一歩先を見ること、
それに向けて行動を起こすことが必要です。

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皆様からのご意見、ご感想をお待ちしています。
それでは、また来週。(´ー`)ノ