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人への公共投資

(´ー`)ノ< こんにちわ、吉川幸雄です。

前回、ワークシェアリングについて考えました。今年に入って一般
紙やテレビのニュースでも取り上げられることが多く、今年の春闘
でもワークシェアリングが話題として取り上げられています。

前回、国内でワークシェアリングを導入するには課題が多いと書き
ました。

(1)もともと基本給が少ない
(2)企業に奉仕する愛社精神
(3)国内産業のサービス化
(4)生産性の低下

これらの課題を解決し、国内でワークシェアリングを導入するには
どうすればいいか、というのが前回からの宿題でした。

で、結論ですが、現時点でワークシェアリングを議論するのはムダ
だ、と思いました。

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◇国内での先進事例

国内でのワークシェアリング導入の先進、先行事例として日野自動
車の例がよく取り上げられます。

日野自動車が行ったワークシェアリングの内容は次のようなもので
した。

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日野自動車のワークシェアリングの試みは、99年6月から10カ月間
行われた。

 その内容は、管理職を除く55歳以上のホワイトカラー約250人
を対象に労働時間を8時間から7時間に1時間短縮し、ボーナスを
含めた賃金を1割カットするというもの。

 もちろん、組合は反発したが、「受け入れなければ指名解雇もあ
りうる」(湯浅浩社長=当時)と強い姿勢を示し、組合も受け入れ
た経緯があった。言ってみれば、時短、賃金カットを行う代わりに
雇用を守ったわけである。

MAINICHI INTERACTIVE サンデー毎日
http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/sunday/01/1125/tokusyu1.html
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ワークシェアリングというよりも、需要低迷による時短と賃金カッ
トというのが、現在国内で議論されているワークシェアリングの内
容です。これでは、労働者にとって何もよいことがありません。

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◇嵐が収まるまで待つしかない。。。

年明け早々から、都内信組大手の永代信用組合が破綻、「ホーム、
ホーマー、ホーメスト」というテレビCMでおなじみの殖産住宅相
互が倒産、ダイエーは経営再建のため店舗を50店舗程度閉鎖する
計画です。

つまり、仕事を分け合おうにも分け合う仕事がどんどんなくなって
いるのが現在です。この状況で、ワークシェアリングを議論するこ
とはまったく無意味だと思います。結局、企業側の時短、賃金カッ
トを横文字でカッコよく表現しただけのものになってしまいます。

今年4月のペイオフ解禁に向けて、銀行破たんとそれに伴う企業倒
産が続くであろうことが予想されます。その結果、失業率は最悪の
値を更新していくことでしょう。

しかし、いつかは必ずその流れは収まります。年内か、それとも来
年前半か。経済予測は専門家に任せますが、国内の産業構造を変革
するために必要な痛みは必ず終わります。
この間、職業訓練などの制度を利用して、失業者が新たな職業技術
をを身につけることが必要です。
そして、構造改革によって新たに生まれた産業、企業で、新たな技
術を身につけた失業者がワークシェアリングによって仕事を分け合
いながら、職に就いていく。
このときになって初めて、ワークシェアリングの議論が意味を持っ
てくるように思います。

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◇人への公共投資が必要です

今後、企業倒産が続き失業率が上がってくるにつれ、小泉内閣に対
する風当たりは厳しいものになってくるでしょう。それに付け入る
ように、いわゆる抵抗勢力が従来型の公共事業を求めてくるでしょ
う。

これまでの国が行った公共事業の結果を見ればわかるとおり、公共
投資によって整備されたコンクリートの塊は、その後なんの価値も
生み出していません。生んだのは負債だけです。

しかし、雇用対策や職業訓練など、人に対する公共投資によって新
たな技術や知識を身に付けた人は、その後新たな価値を生むはずで
す。

そのことを国民が理解し、今そこにある痛みを乗り越えられるか。
日本人全体が試されているような気がします。

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皆様からのご意見、ご感想をお待ちしています。
それでは、また来週。(´ー`)ノ