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ワークシェアリング

(´ー`)ノ< こんにちわ、吉川幸雄です。

新年明けましておめでとうございます。
昨年は「明日へのヒント」をご愛顧いただきありがとうございまし
た。本年もどうぞよろしくお願いします。

昨年9月に創刊したメルマガ「明日へのヒント」ですが、創刊以降、
どのような内容が読者の皆様に喜ばれるのだろうと試行錯誤で配信
してきました。

その間、自身のごたごたもあり、何を書けばいいのかわからなくな
ったような時期もありました。
新年明けて第一号です。改めてこのメルマガ「明日へのヒント」の
方向性を明らかにしたいと思います。

1.週刊を維持すること
2.一週間の経済・経営ニュースの中で、吉川の目にかなった記事
をピックアップし、吉川の目で分析評価する。
3.分析評価する中で参考としたWeページのアドレスを明記する。

以上3項目を守り、今後も継続して配信していきたいと考えていま
す。今後ともよろしくお願いします。


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◇ワークシェア推進を明記

>経団連と日経連が5月に統合して誕生する新経済団体「日本経済
団体連合会」の活動方針が明らかになった。雇用対策の切り札とし
て注目されるワークシェアリングの具体策を検討して普及を図るこ
とを明記するとともに、公務員の臨時採用など政府に雇用創出を求
める姿勢を打ち出している。

<読売新聞(2002.01.06)>

ワークシェアリングとは、雇用機会、労働時間、賃金という3つの
要素の組み合わせを変化させることを通じて、一定の雇用量を、よ
り多くの労働者の間で分かち合うことを意味します。
オランダやドイツなど欧州での取り組みが有名ですが、国内でも日
野自動車や半導体製造メーカーTOWAなど、一部で採用をはじめ
る動きが出てき始めています。

ワークシェアリングの類型として次のものが挙げられます。

(1) 雇用維持型(緊急避難型):一時的な景況の悪化を乗り越
えるため、緊急避難措置として、従業員1人あたりの所定内労働時
間を短縮し、社内でより多くの雇用を維持する。

(2)雇用維持型(中高年対策型):中高年層の雇用を確保するた
めに、中高年層の従業員を対象に、当該従業員1人あたりの所定内
労働時間を短縮し、社内でより多くの雇用を維持する。

(3)雇用創出型:失業者に新たな就業機会を提供することを目的
として、国または企業単位で労働時間を短縮し、より多くの労働者
に雇用機会を与える。

(4)多様就業対応型:正社員について、短時間勤務を導入するな
ど勤務の仕方を多様化し、女性や高齢者をはじめとして、より多く
の労働者に雇用機会を与える。

ワークシェアリングに関する調査研究報告書
(厚生労働省)平成13年4月26日
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0104/h0426-4.html

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◇成功したオランダのケース

この手法を導入して成功したケースとしてオランダがよく知られて
います。83年に失業率14%だったのが、ワークシェアリング導入と
それに伴うさまざまな改革を経て、2000年には2.8%にまで失業
率は下がり、「オランダの奇跡」と呼ばれています。

オランダの失業率低下の背景として、総合的な経済政策による経済
成長の実現という背景があり、一概にワークシェアリングの導入に
よって失業率が低下したとは言い切れないようです。

ちなみにオランダの90年から10年間のGDP成長率の平均は2.95%
(2000年は4.3%)となっています。

以下のレポートがあります。

   *   *   *   *   *   *   *

80年代半ばには高失業率などに悩まされたオランダですが、どの
ような経緯で好景気になったかについては、以下のような様々な理
由があげられています。

第一が賃金上昇の抑制、これは80年代初頭、労使双方が実質賃金
の上昇を凍結することに同意したことにより、企業収益が上昇した
こと。第二に時短労働によるワークシェアリングの実施、及びパー
ト労働雇用(特に女性)の増加、第三に社会保障政策、税制の見直
しによるコスト低減、消費意欲刺激策などです。

特に、第二の女性のパート労働の増加は、世帯の収入増に結びつき、
企業の給与引き締めが実現した背景ともいわれています。こちらに
長く生活している日本人からは、「給与凍結期間はつらかった、し
かしそれがあって今の好景気に繋がったのだと思う」と聞きました。

なお、パートタイム労働者はフルタイム労働者と比較しても、有休
休暇取得等の労働条件について不利にならないよう保護されていま
す。そのため、パートタイマーも堂々と夏期休暇を取得出来る仕組
みとなっており、レジャー面への消費増にも結びついています。

また男性のパートタイマーも珍しくありません。この他、税制の見
直しによる所得税率(保険含む)の低下(72%から60%そして
52%へ)も図られてきました。

税制面については、この2001年1月に大きな改革が実施されて
施行されたところです。主なポイントは4段階の累進課税税率の減
少(かわりに税区分の所得額の変更を実施)、付加価値税(消費税
にあたるもの)の17.5%から19%へのUPなどです。

岐阜県海外駐在員リポート
http://www.pref.gifu.jp/s11129/kokusai/010109rj.htm

   *   *   *   *   *   *   *

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◇日本で成功するか?

日本でワークシェアリングを導入するにあたって問題となることと
して次のことが挙げられます。

(1)基本給が少ない
終身雇用と年功序列賃金を前提に生活設計をしてきた人々にとって
は賃金の減少は痛いでしょう。特に、残業代を定期的な収入と捉え、
生活費の一部としている人々も少なくありません。(私の周りでも
そんな話はよく聞きます)

上記のオランダの例では、女性のパート労働が増加したことによっ
て世帯所得が上昇したとありますが、日本では所得の足しとして女
性がパート労働に出るケースが多く、パート労働の増加が消費の増
加につながりにくい状況にあります。

(2)企業に奉仕する愛社精神
また、「使用者に奉仕・服従する」という関係で、ひとたび企業の
お世話になったからにはサービス残業も断れないで1日24時間企
業利益のために奔走する、という企業戦士にとっては、他人と労働
を分け合うという発想は生まれないでしょう。

(3)国内産業のサービス化
さらに、産業構造のサービス産業化やITの普及によって知識労働
者層が増加している状況にあって、定型的労働に適したワークシェ
アリングの手法が導入できるかという問題があります。

ワークシェアリングが可能な職種は同時に海外移転も可能であり、
現在の中国への生産拠点移動との経済性の比較という問題もありま
す。

(4)生産性の低下
企業側にとっては、パート労働を正社員と同等に扱うことによって
福利厚生費が上昇し、ひとつの仕事を複数で分割することによる生
産性の低下が危惧されます。


このように、日本でワークシェアリングの導入が成功する可能性は
低いと考えざるを得ません。

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◇では、どうすればいいのか?

2001年11月の完全失業率は過去最悪の5.5%となりました。
雇用に関する議論は待ったなしの状況です。

では、どうすればいいのか?

・・・すみません。まだ自分の中で考えがまとまっていません。
来週の宿題にします。

読者の皆様の中で、なにかよい考えをお持ちの方がいたら、ぜひお
寄せください。

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皆様からのご意見、ご感想をお待ちしています。
それでは、また来週。(´ー`)ノ