(´ー`)ノ< こんにちわ、吉川幸雄です。 11月20日(火)、東京・日比谷にある日本プレスセンターで行われ た「ITが変える21世紀の企業経営」(主催:読売新聞社)に行っ てきました。 一般紙が主催しているため、これからの企業経営にはITが必要 だ」というような基本的なテーマのセミナーなのですが、三菱総合 研究所特別顧問の牧野昇氏の講演があったので出掛けました。 牧野氏の講演を聞くのは初めてだったのですが、多くの著書をもち、 講演の機会も多い牧野氏だけあってわかりやすく、興味深い話が聞 けました。また、講演のテクニックみたいなものも少し学べたよう な気がします。 今回は、牧野氏の講演内容の概要「企業の競争力とIT活用」をお 届けします。 ────────────────────────────── ◇企業成長のための3つの選択肢 バブル崩壊以降、経済成長が鈍化しついにゼロ成長となった日本で あるが、悲観することはない。ゼロ成長といってもダメなのは半分 だけで、日本の半分は成長しているのだ、と考えればよい。あなた 方(聴衆)が成長する半分に入ればいいだけの話である。 企業が成長を続けるには3つの選択肢がある。 (1)コアコンピタンス 他社が追いつけない「独自の技術・スキルの集合体」を確立するこ とである。例えば、トヨタの生産技術、キャノンの光技術、村田の セラミック技術など。 (2)バーチャル化 自前主義を脱却し、アウトソーシング、脱ヒエラルキー、SOHO、 分散化、ボーダレス化を強め、境目のないオープンな体制になる。 (3)グローバル化 例えば、中国の工場では頭が良くて若くて、賃金の安い労働者が大 勢いる。高齢化の進む日本がかなうわけがない。生産拠点を海外に 移転し、国内企業もグローバルウェブ型調達を進める。 一方で、外国企業の日本進出も盛んになり、外国人労働者の数も増 えていくだろう。日本は少子高齢化の影響で30〜40年後には現在の 60%程度の人口になると予測される。そのため、海外からの移民を 積極的に受け入れるよう政策転換をしないと国としての活力が失わ れてしまう。 ────────────────────────────── ◇わが国の重点科学分野 科学技術庁(現在文部科学省)では、長期的視点に立って我が国の 技術発展の方向を探るため、科学技術分野における技術予測調査を 1971年以来これまでに6回にわたり約5年間隔で実施してきている。 調査はデルファイ法により行い、2回のアンケート調査により回答 を収れんさせている。 調査対象者は、分科会の委員の推薦等により選出した第一線の科学 者で、事前に協力依頼を行い、了解を得られた人にアンケートを送 付して行っている。 2000年度に行った第7回技術予測調査では、驚くべき結果が現れた。 国がIT政策として推進している情報系技術分野について、多くの 科学者が10年後にはその重要度は低くなる、つまり開発すべき技術 はなくなると予測していることがわかった。 そのため、文部科学省では2001年3月にまとまった報告書を公表せ ず、IT不況が明らかになった10月まで公表を待った。 結果の概要は次の通りである。 わが国の重点科学技術分野について、現在、重点をおいて技術開発 を進めるべき分野としては、情報系技術、地球・環境系技術を挙げ る回答者が全分野を通じて最も多く、次に生命系技術を挙げる回答 者が多かった。 ※現在、重点をおいて技術開発を進めるべき分野※ 調査数:3,100(複数回答) 情報系技術:2,300 生命系技術:2,100 地球・環境系技術:2,500 材料系技術:600 製造・マネジメント系技術:400 社会基盤系技術:700 10年後(2010年以降)の重点科学技術分野については、地球・環境 系技術、生命系技術を挙げる回答者が全分野を通じて最も多かった。 情報系技術を挙げる回答者は「現在重要」と答えた回答者数の半数 以下に減少した。社会基盤系技術、材料系技術を挙げる回答者は 「現在重要」と答えた回答者数の1.5倍程度である。 ※10年後、重点をおいて技術開発を進めるべき分野※ 調査数:3,100(複数回答) 情報系技術:900 生命系技術:2,600 地球・環境系技術:2,700 材料系技術:800 製造・マネジメント系技術:250 社会基盤系技術:1,100 ITの技術開発はもうすぐ止まる。今後は、ソフト、ソリューショ ンといったITを活用したサービスの高度化が伸びてくるだろう。 ────────────────────────────── ◇日本の強みを活かす研究開発分野 中国が「世界の工場」と呼ばれるようになるなど生産拠点の海外移 転が進む中で、日本が生き残る道として世界の研究開発拠点となる 必要がある。日本の強みを活かす研究開発分野として、次のものが 挙げられる。 (1)iモード 携帯電話分野は日本が世界最先端の技術をもっている。 (2)青色ダイオード 日亜化学の中村氏が開発。これにより光の3原色が全て揃い、フル カラー表示が可能に。 (3)ゲームソフト開発技術 OSなど機械ソフトではアメリカが強く、日本は2千数百億円程度 輸入しているが、逆にゲームソフトは2千億円以上を輸出している。 (4)電子デバイス 日本には独自の焼き物技術があり、セラミック分野に強い。セラミ ックコンデンサは世界のデファクトスタンダードに。 (5)光技術 光ダイオード、光通信、ディスプレイ、太陽電池などの光技術は日 本の得意分野。 (6)ロボット技術 世界の工場で日本のロボットが稼動するシェアは60%を超える。 (7)公害防止技術 公害意識の強い日本では、公害防止技術が進んでいる。 21世紀、日本が先進国として生き残っていくためには、サービス部 門と研究開発部門の高度化が求められる。 ────────────────────────────── 皆様からのご意見、ご感想をお待ちしています。 それでは、また来週。(´ー`)ノ |