大人用音楽
YUMI'S CD REVIEW

 

スガシカオ 『4FLUSHER』 全曲レビュー

 

スガ史上、最も悩んで病んでる、このアルバムそのものがドキュメント2000!
アーティストとしては過渡期にあったスガ自身の迷いと私生活のもろもろが相まって、
最も彼の心の「やらかい場所」が表れた、マニアとしてもとても愛しいリアル集ですよ。

 

1. 「かわりになってよ」

イントロと間奏以外に音的には特に魅力を感じない曲だが、それゆえ歌詞が際立って
いる。少なからず自分に気のある女を利用してサドってるように聴こえるが、代替のど
うでもいい女にさらけ出す行為をする、男のマゾのような気がする。全部承知の上で。

 

2. 「性的敗北」

こちらがメインの曲で、その説明のために1曲目が作られメドレー仕立てにした。でも、
これだけだったほうが、想像力が欠きたてられて面白かったように思うんだが。別れ
た相手に一番未練を残すのって身体だって説があるの知ってる?どうも切ないね…。

 

3. 「ミートソース」

しょっぱなから熱いタイジのギターソロ!ファンクロックだぜ!スガの歌も暑いんだけ
ど、妙に乾いてるのが魅力。見事な真夏のコラボレーション!是非、生でセッションを
見せて欲しい。暑苦しいぞ!パスタ好きのスガ、ミートソースは大嫌いなんだよね~。

 

4. 「AFFIAR」

古くからストックされていた曲だが、ファミシュガによって完成された名曲。メロウグル
ヴとレゲエビートの混合魔力。説明的ではなく濃縮された詞は、私にいくつかの恋愛
を思い起こさせて共感。涙なしでは聴けない切な過ぎる、酷痛すぎるラヴソング…。

 

5. 「波光」

ストリングスとピアノ4つ打ち…最もらしくない白いバラード。でも詞は真っ黒。ゲロ吐
きそう。そこがとってもスガらしい。だけど、エンディングに向かって、白い波光のよう
な気持ちになっていく様を音で聴かせてくれる。眩しいほどの光がありますように…。

 

6. 「ドキュメント2000 ~the sweetest day of my life~」

正しくは「our life」ではないか?だって、一人称では結婚式はできません!クアイアー
調の黒い曲なのに、白い衣装とネクタイが浮かぶ、面白い曲。ファンキーな森ピアノ
の白黒鍵盤も跳ねて見えるようです。そういう詞曲のナンセンスユーモアが大好き。

 

7. 「SPIRIT」

とてもらしくない、さわやかにがんばってる曲。気持ちは熱いのに表には出し難くて…
自分を偽ることを覚えてしまった大人に送る応援歌!自由も夢も愛も未来も、すべて
言葉でしかなく実態は誰もわからない。やるしかない!その昂揚感に異様に泣ける!

 

8.「そろそろいかなくちゃ」

「ひとりごと」と似てる気が…。日々に魅力を感じてない妙齢のサラリーマンが大共感
するブルースだ。生活と人生をダブルミーニングにして、このままじゃいけないんだよ
というメッセージが感じられる。でもたまに休むこともたまには必要、優しい前向き曲。

 

9. 「たとえば朝のバス停で」

ブルージーなファンキー曲。スガ流ブルースが響いている。自己卑下したり、他人否
定してることが多いけど、珍しく出会った人々に感謝をしている。私にも忘れてたこと
を思い出させる。どこでもいいからシカオさんに会って感謝の気持ちを言いたいよ!

 

10. 「青白い男」

8ビートロックに挑戦!間があって、特にAメロ、非常に歌いにくそうなのが、マニア
心をくすぐる。もっとBPMを早くしてパンキッシュにやったら、もっとカッコいいので
は?ハマるのでは?って思う。青白い男さん、私のドアをノックしてくれないかなぁ。

 

11. 「木曜日、見舞いに行く」

この曲は「SPIRIT」のC/Wなのだが、ちょうどその頃何故か木曜に限って末期ガンの
祖父の見舞いに両親が通ってた。私は最後に一度だけ…。行きたくなかったんだ、私
も入院してたことがあって、死を感じた場所だったから。でも今はわかる。旅立つ人に
出来ることは、このサウンドのような笑顔を見せてあげること。心はこのメロディーの
ように悲しくてもね。そして、自分の未来にずっとその記憶を持っていくことだけなんだ
ってね。そんなことを教えてくれたヒューマンソング。レゲエって本来そういうものだよ。

 

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