4th シングル 1997.11.21 RELEASE
私も愛について考えてみたい!
一緒に考えてくれる人もいないし、語らうこともできない。だから…一人で書くことしかできないのさ…。
デビュー曲、「ヒットチャートをかけぬけろ」で宣言しているように、確かに彼はなんだかんだいって「愛」についてを歌ってるんだと思う。
しかし!一般的に「愛の歌」って、世間一般的ありふれた表現、常套句を借りるならば、「与える愛」なんだよね。でもね、そういう曲は、シカオさんには少ない。しいて挙げるならば、「イジメテミタイ」だと思う。これは、ちゃんと相手もその愛を喜んで受け入れてる、そしてもうひとつ、「ココニイルコト」。これも愛があった。
シカオさんの歌う「愛」とは名詞形で、「愛する」とか「愛してる」とか、動詞形があまり出てこない(彼女はいうけど)。これも一般的じゃない。でも、そこが、私が好感や共感できるところであります。
全体的にひっくるめて、シカオさんの「愛」って、「愛、くれくれ」、「愛、よこせ」、「愛、ちょうだいよ」って歌だと思う。
それは、「愛について」でも、そう聴こえちゃうのです…。
確かにシカオさんは「愛」を歌ってると思う。それは「黄金の月」でもそう思うんだ。これも愛の歌ですよ。スガ的愛の形が出てる曲だと思うんです。
<君の願いと ぼくのウソを合わせて 6月の夜 永遠をちかうキスをしよう>
この部分。マニアの中では「恋愛の歌ではない」とされてますが(作者としてもそうだと思いますが)、愛を感じるます。どんなに歪んでても、出来る限りあがいて、<ぼく>が<君>の光になる。自ら望んでね、がんばっちゃってくれるの。私は見たいなぁ、その<光>を。
「愛について」以上の曲を書きたいけど書けないってことを、シカオさんはよく話されています。恐らく現時点で、これ以上に愛について言葉にできることはないのでしょう。「愛とは何か?」ってことに思いを馳せたから、こういう曲が生まれたんだと思うんです。メジャーデビュー前にタワレコ限定で発売された幻のインディーズ盤『0101』というミニアルバムがあるんだけど、その中に、「愛とはいったい」という曲と並んで「愛について」収録されていました。愛とはいったい?の答えが「愛について」なんだよね、きっと。
他に代替の言葉がないから、「愛」って言葉が単独で存在するんだよね?きっと。私はそう思っている。どっかで聞くか読むかした話なんだけど、「愛」って言葉は日本古来の言葉じゃないんだってね。欧米文化が入って来て、「LOVE」を翻訳する時に相応の言葉がなくって、誰か(確か有名な人)がむりくり「愛」って言葉を置き換えたってことらしいんだけど。ほんとかどうか知らないけど。でも、「愛しい」って言葉は昔からあって、それはイコール「LOVELY」だよね。なんか合ってるような気がするんだけど。「愛しくて、ずっと存在して欲しくって、大切に守っていきたいと思う気持ち」が愛じゃないですかねぇ…。愛よりもLOVEのほうがイメージ沸くよ、なんかね。ジョンレノンのせい(おかげ)かな?。
「愛」というのは、一方的な気持ちであり、それは何のためでもなく、誰のためでもなく、そうすることで自分が満たされ喜びになるのでは、と私は思うのであります。だから、例えば「あなたのために」とか「してあげる」という表現でアピールするのは、偽善のような気がする。結局は自分に返るものだと思うんだよね、私はね。相手からの見返りなんか求めないものだと思う。
こんな風に考えているから、いつまでたってもひとりで、ふたりになれないのだろうか…。
私の思う「愛について」ですが。
文字通りの冬の歌だとずっと思っていた。それが余計寒かったこともあった。だけど、去年の夏、変わった。初夏から真夏に生を聴いたからかな。<木枯らしにこごえる日>っていうのは、そのまま天気のことではなく、心の天気模様のことだよね。そんなときは、かじかんだ心を温めて欲しいんだよね。
しかし、ここで要求してるくせに、また彼女が不安がってる時も、おびえないでいて欲しいって要求。普通のラヴソングでは、彼女が寒がってるときには温めてあげるとか歌っちゃうんだよね。そこがスガ節、大いに違うと思う。
でも、同じ日々を過ごそうとしてくれてるんだよね。涙の後はどうするんだろう?なんて思っちまいますが。夜っていうのも暗喩で、明日も夜で、そして一緒に温まろうとするんだ。だけど、そのスープはどっちが作るの?共同作業?だったらいいけど。手作りだよね?外食やデリバリーだったら嫌だよね。毎日スープを作らなきゃならないのかな。それとも、一度に大量に作って、それを少しずつ取って温めるのかな。残った分は、どんどん味がよくなって行きそうだよね。煮詰まったらたまに薄めたり、なくなったら作り足したりして。時には最初から作り直したり…。ともかく、レンジでチンっていうわけには行かなくて、しっかりじっくり火にかけて煮込みたいね。もう、火を起こすところから始めたいね!
「愛について」でいえば、その実態が〈スープ〉なんじゃないのだろうか。どんなスープか知らないけど、暖かいんだよね?温まるんだよね?この曲には、タイトル以外に歌詞には〈愛〉が一切出てこない。イメージの世界だ。
現実的に「愛」を感じる瞬間というのあるのだろうか。愛の対象とは、大切で必要なものだと思うんだけど、大切なものというのは失ってから初めて気付くって、よく言われること。今あるもので、大切にしたいずっと持っていたいって思うものってあるよね?そこには愛があるんだけど、愛してるか?と訊かれれば、また別問題のような。「愛」と「愛すること」は、まったく別なことのような気がします…。
ともかく、この曲を聴いたらたいがい誰しも、「愛についてうまく話せるようになりたい」って思う、と私は思うんだよね。
恋愛を描いた芸術作品は、それを鑑賞した人に「恋愛したい」と思わせることが使命だと思う。だから、「愛について」は最高級のラヴソングだと思う!寒いのは、私が愛について話す相手を持ってないから、なんだよね。
誰か、読んでくれてる?一緒に話せる人いる?どうだろ?…。そんな出会いがあればいいけど…。「愛の答えを出したら、僕の歌詞はウソになる」、とシカオさんは音楽雑誌「音楽と人」のインタビューで仰っていた。うん、そうかもしんない…。詩集で〈愛〉が出てくる曲を全部拾ってみたい気分なんですが、とりあえず今、パッと浮かんだものを。
「ヒットチャートをかけぬけろ」の<愛を歌うために何をすればいいか>
「これからむかえにいくよ」の<愛さえあればっていってたけど 何もいらないって〜>
「SWEET BABY」の<愛という大問題の一方的な降参を認めていいのか>
「波光」の<愛のカタチをバカらしい作り物だとコソコソ笑った>
「SPIRIT」の<愛の歌はなんだかうまくなじめない 口笛でなら少しは上手に吹ける>
「そろそろいかなくちゃ」の<愛しているの?と彼女はいう いつもうまく返事は出来ない>
ほぉ!いっぱい出てるねぇ。明確な答えが出来ないものをしっかり歌ってるねぇ。
「あまい果実」の<君への思い>、「AFFAIR」の<この想い>っていうのも「愛」なんでしょうか。終わりそうな思いと、終わってしまった思い…。
「これからむかえにいくよ」では、愛を確かめにわざわざ出かけちゃうし、「SWEET BABY」では、愛を欲しがってるけど、愛をあげようとはしてないし、「波光」はそのままの意味…(苦笑)、「そろそろいかなくちゃ」でも、愛してるとは言えない…。
その中から「SPIRIT」ピックアップ!
愛の歌ってことは、愛の言葉、歌詞があるわけですが、それはうまく歌えない。だけど、口笛なら歌えるってことは、イメージはしっかりあるわけで、メロは上手に歌えるんだ。出来ないのは、歌詞、言葉のみ。言葉にはならないけど発することは出来るんだね。これって、オフコースの♪ラララ ララァ〜ラア〜 言葉ぁに できなぁい〜 みたいじゃない?終わることのない愛が途絶えた…。
「愛」はどうやら1st『CLOVER』と4th『4FLUSHER』に集中して出て来るようだ。そんな時期だったんでしょうか。そして、最新6th『SMILE』には出て来ません。本当はわかっちゃったから出て来ないんじゃないのだろうか。もしくは、そんなことを考えたくもなかったり、考える余裕もなかったとか…。
そして、極めつけ「夜明けまえ」、歌詞に三度<愛>が出てくる。
<今テレビの画面で誰かが 愛のためその銃を取った>
<ねぇ愛という言葉ですましてきた ずっと昔から あやふやな感じ>
<ねぇ君が愛してるって聞く度に ふっとよぎる このどうしようもない感じ>
この曲は、頭から愛について考えてるんだよね。雑音のせいで眠れない夜に考えちゃうのって、余計なことばかりなんだよな。全体の歌詞からして、どうとっても愛について考えてる。そして、雑音のせいでまた愛の(銃の)音は聞こえないの…。見えない愛に銃を撃ってみても、的に当たらなかったり、当たっても実感がないんだよね…。、愛してるって訊かれても、どうしようもできない…。だから、自分を縛っちゃう。しっかり見ようとしても、見えないし…。愛の言葉、届きそうなんだけど、雑音に消されるんだよね…。でもさ、そんな銃声がブルースになるわけさ!それで塗りつぶしたい!(SPIRIT)
わからない愛について、これだけいろんな歌を作っているシカオさんてすごい。それだけ大きなテーマなんでしょう。わかってしまったらそんな歌は生まれないのかもしれない。ん〜…わからない。
以上が、私の「愛について」考察。こんなに考えて言葉にして、すごい充実感がある。全部仮説に過ぎないんだけどね。
こんな私って、とってもスガ作品を「愛してる」と思うんですけど……。