時事画報社PACIFIC frlend Vol.28 NO.11 2001.2発刊

English版なので高知大学英文科のFさんに翻訳して頂きました。

国民の祝日の天皇誕生日である昨年12月23日、イベントが開催された。
すもう競技がオフのこのシーズン中、両国国技館に興奮が走った。しかし、土俵上ではたいていが100Kg以上の力士でなく、たった3Kgの目方のちっちゃなロボット力士がタイトルを賭けて競う。こんなちいさな兵士ではあるがそう簡単には負かされない。表面がゴム製のリング上でアルミの体が激しくぶつかる衝突音が鳴り響く。そして、ロボット力士は吸盤の足を使って土俵にふんばりながら相手をぐらつかせ、優位な立場に立つ。通りがかりの観客までもをその様子に熱中させる。

このイベントは第12回全日本ロボット相撲トーナメントである。競技はラジコンロボットと、プログラム内蔵ロボットの2部門から成る。ルールは2部門とも同じで土俵から相手を先に出したほうが勝ちである。例年、日本中で催される予選には数千ものロボットがエントリーし、勝者は12月に行われる全国大会に向けてコマを進める。
ロボットファンは世界中に見られるが、日本のこのトーナメントは世界規模で見てもトップレベルだと言われている。大阪市のホシノ タカユキさんは、全国大会のプログラム内蔵ロボット部門の勝者である。勝利の後ホシノさんは、ロボット相撲の興奮を次のように語っている。「今日は2度目の優勝です。毎年大会のレベルは上がり、維持するために真剣に挑戦しています。だから、いっそう、挑戦意欲を掻き立てられます。」
 一方、ラジコン部門の勝者は、三重県四日市市の工業高校から来た2人組の高校生である。彼らが賞金の100万円を、新しいロボットの製作に使うということを言った時、群集は笑いの洪水だった。
一方、ロボット相撲以外にも、現在、日本では多くのロボット競技が開催されている。それらは「ロボット」と「コンテスト」をつないで「ロボコン」と呼ばれている。参加者に、確かな根拠はないが、両方とも約10の地方予選があって、全国大会がある。それに加え、約40~50のイベントが地方行政や企業によって提供されている。このイベントの参加者はそのロボットの数に基づき、30,000~50,000と見こまれている。
 最近多くの中学校で、授業の一環としてロボコン製作活動が始まった。その数は1,500~2,000である。もし、これが地方予選参加者に含まれれば、ロボコンイベントの数も参加者のハッキリした数も明確にするのは不可能だ。
 ロボット競技は大きく3つのことなる部門に分類され得る。すもうのような試合形式のイベントと、レースのようなタイムトライアル形式、そして、制限時間内で正確に与えられた仕事をこなす、課業タイプの3つだ。あるイベントではこの3つが混合されていたり、最近では音楽的また他のパフォーマンスを持ったものもある。おもしろいのは、毎年同じイベント名で行われるが、新しいテーマやルールが取り入れられることだ。
 競技ごとにルールが変化している背景にある、一つの推理としては出場者たちが挑戦に打ち勝つために、絶えず新しい方法を考案することが、ルールや細則が更新されることなしに勝者を決定することを難しくしている。
 日本で唯一のロボット競技専門誌である「ロボコンマガジン」の編集者であるセキガワラ マサヒロさんは、ロボットコンテストの魅力について次のように語る。「誰でもこのようなイベントに参加することが可能だ。出場者独自の知識や能力が結果として彼らのロボットを作り出す。」彼は続ける。「まず初心者はセンサーを使って、リモコンロボットを作る。次は内蔵プログラムやその他の機能を果たす動作である。それを解決するには多くの段階を踏まねばならないが多くの人々がこうやってロボットに夢中になっていく。」
高知県高知市の山口徹さんはまさに、セキガワラさんの言うようにして夢中になったロボット中毒者である。山口さんはうどん屋台を営んでいる。約10年前、一人で仕事をする彼は料理や片付けをしながらグラスを洗う効果的な方法を考案した。確かに誰か手伝ってくれる人を雇えばいいのだが、山口さんはマイクロコンピュータ制御の自動食器洗い機づくりに興味を持った。数年後ついに彼は自動食器洗い機を完成させたが、その製作課程における情報収集は、彼にロボットとの接触をもたらした。
 はじめに、山口さんは旋回するロボットで、地方のタイムトライアルのイベントに参加した。しかし、すぐにその大会のレベルを追い越した。最近彼は動物のような四足ロボットの製作に取り組んでいる。「私は、小学校に通う時分から勉強が嫌いでした。私は中学校までの義務教育しか受けてません。」と山口さんは言う。ロボットの製作は試行錯誤の連続であったが、彼は自身で、コンピュータプログラミングや電子工学や数学、そして物理学さえも悟った。多関節で四足歩行のロボットをデザインしたりせいぞうするには高等で専門的な知識と技術を必要とする。大学の研究所でさえ、このようなマシンを簡単には発明できない。しかし山口さんは、彼独自の知識やパソコン、そして道具を駆使してロボットを作る。
 山口さんは彼の経験を次のように話す。「私は何の知識もないままロボットを作り始めました。それゆえ、多くの障害があったが、障害にぶつかった時は解決方法を見出し、それを試みました。たとえ、私と同じような立場の人がいたとしても、熱意があればきっとうまくいきます。私はみんなにこのように言い聞かせています。」ロボットのお陰で、山口さんは、単なる美味しいうどん屋でなく、ちょっとした名士となった。かつては勉強嫌いであった山口さんは地域の小学校に招かれ、そこで自ら生徒達に数学の魅力を説いている。
 山口さんの例を見る限り、ロボット競技に参加することは、教育的意味合いがある。科学離れの傾向にある生徒達を評論家達が批判する今日の日本において、ロボットコンテストが多くの注目を浴びているのにはこのようなことが理由の一つだ。実際、科学を学ぶ生徒達でさえも、その特殊化や増加する袋詰の技術が機械を手作りするということから彼らをさらに遠ざけている。
全国専門学校ロボットコンテスト実行委員で、東京電子工学大の学部長のタナカ ヨシハルさんは、「私達は、コンテストに10年間参加している。ロボットに対する先入観がない新入生だからこそ、何かを作る興奮のすばらしさに言及しなくとも、製法や専門性の『ソフト』な面と、ロボットを組み立てる『ハード』な面とを、競技にむけて短期間で取り組むことで、その両方を学ぶことができる。ロボットコンテストに参加することは、就学年数の短い専門学校の生徒にとって実に価値ある経験なのだ。
 ロボコンマガジンのセキガワラさんは、「ロボットコンテストは科学の苦手な生徒にも教育的利益をもたらす」とつけ加える。
「15年前に、ロボット作りの授業を取り入れ、ロボコンをもたらした青森県八戸市の第三中学校は結果として問題生徒がぐっと減った。聞く話しによると以前は出席を拒んでいた生徒がロボットに夢中になり登校拒否とは全く逆の問題になってしまった。私達は、ロボット作りに夢中になったお陰で、大学入試に合格し、ストレートに卒業した子供達の例を見ている。ロボットコンテストで勝つためには、広範囲の知識を必要とする。だから、コンテストに参加する生徒たちの『学び』に対する欲望は試験をパスするために詰め込まれた知識ではなく、学びたいという本物の欲望による知識なのである。ロボコンとともに成長した子供達は、すでにさまざまな分野で、その優秀な力を発揮している。」

 ロボット競技のこうした教育的側面を目当てに、教育、文化、スポーツ、科学そして科学技術の各省が、今年の夏から秋にかけて開催されるロボットゲームフェスティバル「ロボフェスタ」に支援を供給している。そのイベントは7月20日~29日関西地方、主に大阪で開催される予定である。その後、8月24日~11月25日の間に神奈川地方で開催される予定だ。
 ロボフェスタ中央委員会事務局の国際公的機関の指揮者であるオトムラ ケイイチロウさんはいう。「ロボフェスタの概念はロボット競技のオリンピックである。私はこのイベントを宣伝するために海外へ行ったが、訪問先の人々は、子供達の科学・科学技術離れを心配していた。ロボットファンや研究者達に独占されつづけている分野であるロボット競技を、もっと一般的にしたいものだ。そして科学離れに何らかの変化をもたらしたい。私たちはロボット競技の存在が世界中で確立され、世界で最初に実現されることを切に望んでいる。」

 19世紀末、Baron Pierre de Coubertin(人名)はスポーツの教育的利益を目当てに、現在のオリンピックをつくった。おそらく21世紀にはロボット競技に参加することが若者達の目標になっているだろう。
(アライ キクオ)

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