#6423/6750 チアリ広場 ★タイトル (CKG36422) 98/10/21 14: 0 ( 97) ペットとの出会いと別れ  ヨウジ ★内容  91年11月の冷たい雨の降る早朝 裏庭の方から猫の鳴き声が繰り返し聞 こえていました。起床の時間になって から庭に出てみると、物置の前にびし ょ濡れになってはなを垂らし痩せた黒 虎の子猫(生後3、4カ月の)がいま した。可哀相なので助けてやることに しました。とにかく外では寒いので足 や体を綺麗にして家に入れてやりまし た。でも飼うつもりはなく、風邪が治 り元気になるまでと考えていました。 その夏より水槽で金魚を飼い始めてい たこともありました。私が子供の頃に は犬や猫を長く飼っていたので、動物 に対する親しみはあったのですが、近 年は家が建て込み近所迷惑もあるので、 ペットを飼うことなど考えられません でしたから。  名前は最初に小学2年だった娘の真 理が庭に行って見つけて来て可愛がっ ていたこともあり、真理の子猫または 真理の子供という意味から真子それで 「まこ」と名付けました。それに雌と 思っていたからです。(本当は雄だっ たのです)  一時助けるだけとは言っても家で飼 うにはそれなりの準備が必要でした。 猫用の餌は勿論、器や蚤取りシャンプ ーやトイレやトイレ用の砂や何やと。 幸い大人しい猫で、家の中で暴れたり することもなく、トイレもすぐに覚え て良いペットなり子供も良く可愛がり ました。  しかし、12月になり最初に決めた 通りに「まこ」を捨てに行くことにし ました。私は水槽の魚に力を入れてい たので、家の中の猫の存在は危険で不 潔で脅威になると考えていたこともあ ったからです。非情な決断でした。妻 や子供も可哀相だと猛反対しました。 家の中の猫を嫌っていた82歳の母で さえも「まこちゃんお別れか。慣れた のにね。可哀相にね」と言いながら涙 ぐみ別れを惜しんでいました。そして それを決めた私自身も悲しくて悲しく て涙が止まりませんでした。  涙が完全に乾かない内に、古い旅行 用バッグに入れた「まこ」を連れて、 一家4人土手沿いの道を自転車を走ら せていました。そして土手とは反対側 の民家のそばの原っぱを捨て場所と決 めました。バッグを開けたら「まこ」 は漏らしていました。自分がどうなる か身の危険を悟っていたかのようでし た。これから一人で生きて行けるか心 配でしたが、「きっとやって行けるよ 」と言うよりありませんでした。  それから買い物先に向かいました。 「まこ」と別れたらまた急に悲しくな り涙が堪えきれなくなりました。子供 は割りと平気な様子でしたが、妻と私 は駄目でした。それでも私は買い物先 では平気な顔でいましたが、妻は沈ん で買い物に気が乗らない様子でした。  買い物からの帰り道、皆で「まこ」 がどうしているか話をしながら自転車 をこぐ足を速めていました。捨てた場 所にまだいるだろうか。それとも自分 でどこかへ行ってしまっただろうか等 と考えながら。そして着くと急いで原 っぱに向かいました。「まこ」は原っ ぱには見当たりませんでした。「まこ、 まこ」と皆で何度も呼びました。そう したらどうでしょう。フェンスの内側、 民家の庭でこちらを見て鳴いているで はないですか。皆で当然のことのよう に連れ戻していました。失って見て初 めて解った「まこ」の存在でした。買 い物先からの帰り道のいつからか、私 はまた「まこ」を飼うことを決めてい ました。  あの時「まこ」があの場所からしな くなっていたら、こうして家族の一員 として子供のように面倒を見可愛がる こともなかったと、その後も何度も我 が家の語り草となり、幸運だったこと を喜んでいます。              ヨウジ P.S.その後色々困った問題もあっ     たのですが、その話はまたい     つか機会があったら。 ..