#95/95　●連載
★タイトル (CKG     )  02/12/26  17:00  ( 63)
＠コラム��461　北朝鮮をこれ以上追い詰めるな�A　ヨウジ
★内容

アメリカが１２月から北朝鮮に対する重油の供給を停止したのは、
今年１０月初め、北朝鮮が１９９４年の米朝間の枠組み合意に違反して
ウラン濃縮プログラムによる核兵器開発を進めていることを
認めたためと言われている。（たしか、ある北朝鮮の高官の発言と報道）
しかし、その後これを否定する北朝鮮の報道もあった。
一方、北朝鮮のテレビ報道では「核爆弾やそれ以上のものも」という意味の
ことを言っていたが、既に保有しているのか、
それともこれから開発するのかははっきり言わなかった。
アメリカは「既に極少量の核爆弾を持っている可能性がある」と報道したが、
北朝鮮の核開発・保有の真偽は不明のままだ。
ＫＥＤＯによる軽水炉の建設を遅らされていることにいらだち
アメリカを交渉の場に引き出すための
北朝鮮の単なる脅しだった可能性もある。
アメリカが軽水炉の建設を遅らせていたのは
アメリカが北朝鮮の弱みを握っていて、急ぐ必要もないから
じらし作戦だったのかも知れない。
しかし、経済的苦境や食糧難に陥っている北朝鮮には
アメリカを動かさなければ何もできないという現実がある。
クリントン政権の時に南北・米朝の対話が急速に進み、
もう一歩というところまで進んだが、
その後ブッシュ政権に代わってからは
「悪の枢軸」と名指しされ、交渉は止まってしまった。
おまけに軽水炉の建設も進まなかったから
北朝鮮のいらだちがどれ程のものであったかは容易に想像できる。
そこに追い打ちをかけたのが重油供給の停止であった。
北朝鮮の立場になれば、
切れて原子力発電所や核燃料再処理施設の封印を撤去・再稼働の強行に
走ったのにはやむにやまれぬ事情があったと言える。
北朝鮮はミサイルや麻薬の輸出や拉致事件など迷惑なだけの存在だが、
国際社会から孤立している中では
そうでもしなければ外貨を稼げないという事情もある。
北朝鮮を更に追い詰め孤立化させ危険な存在のままにするより、
国際社会に仲間入りさせた方が
地域や世界の平和や繁栄にとっても
遥かに有益なのではないだろうか。
北朝鮮側の立場にも配慮し、
もう少し寛容な対応も必要なのではないだろうか。
北朝鮮側の事情をまったく無視して
前提条件を満たさなければ一切交渉には応じないという
強硬一辺倒の姿勢では
進むはずの和平への道も進まず
人口密集地での核戦争に至る危険性すらある。
だから制裁を強化して更に北朝鮮を追い詰めるのではなく、
対話による友好的雰囲気作りを先行させるべきである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヨウジ
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Ｐ．Ｓ．日本人拉致被害者が一時帰国した時までは良い雰囲気だったのだが、
　　　　その後の日本での長期間に渡る感情的反応で友好的雰囲気が壊れたこと
　　　　は確かだ。拉致が悪いに決まっているが、交渉を続ける雰囲気ではなく
　　　　なった。そして重油供給停止と原子力関連施設稼働再開で台無しになっ
　　　　てしまった。善悪をはっきりさせることも勿論重要だが、最終的に好ま
　　　　しい成果を得るためには、相互の立場に配慮し、順序立てた理性的な交
　　　　渉を最後まで続けることが必要だ。それがなかったから重要な枠組みま
　　　　でもが壊れてしまった。これまでの長期間に渡る多くの人々の努力が水
　　　　の泡になり掛かっている。