#7629/7629 連載 : AWC.3.2 ★タイトル (CKG36422) 01/07/21 18:11 ( 65) @コラム356 市場主義経済の限界と解決  ヨウジ ★内容  企業が競争に勝ち残るため、機械化とIT化によって経営の効率化を行なうと、 結果的に従業員が減らされ失業者が増加する。それでもなおかつ社会全体の雇用 を維持するには、合理化によって職場を追われた人々を雇用するだけの新たなビ ジネスを生み出さなければならない。また適度なインフレの元、消費や所得が伸 び続けるという、右肩上がりの経済を維持し続けなければならない。  ところが現実は諸要因によって、景気は激しく浮き沈みし、また必ずしも右肩 上がりの経済を維持することはできない。近年は経済のグローバル化によって、 こうした傾向が顕著になった。何故なら競争の結果、勝者と共に必ず敗者が出る が、グローバル化によって国家間でも勝者と敗者が出るからだ。国内競争なら労 働者の移動により大きな問題にはならないが、国際競争になるとそれができない から問題が深刻になる。ある国の産業が業界ごと敗退・消失することも起こり得 る。  例えば日本の米がそうだ。米は日本人の主食だが、これを完全に自由化すれば 日本から稲作農家がなくなってしまうだろう。これは農家の失業問題であり、農 村の存亡に関わる問題である。また同時に日本の食料安全保障という重大な問題 でもある。「それなら農業を効率化して競争に負けないようにすれば良いではな いか」と考える人もあるかも知れないが、ところがそれには限界がある。日本は 国土が狭く、農家一軒当たりの耕地面積も狭く、山間部の傾斜地にまで田畑を作 る位なので、アメリカやオーストラリアのような広大な国土を有している国には とても太刀打ちできないからだ。それに今後、地球温暖化の進行に伴い、異常気 象が激化・頻発するようになるから、食料、中でも特に主食を輸入に依存するこ とは本当に安全保障上の問題となるのである。  それから経済は地球環境の有限性から来る制約も受ける。経済効率の追求と環 境保全とは矛盾し両立しないからだ。前述したように失業問題を回避するには、 右肩上がりの経済を維持し続けなければならないが、経済成長は資源・エネルギ ー消費量の増加に繋がるので、必然的に環境破壊を加速させるからだ。地球環境 は我々人類の生存基盤であり、かつここに住む他の生命を食物としているから、 地球環境を守ることは我々にとっての至上命題だからだ。  よって我々は効率性と公平性の追求のために、市場経済とそのグローバル化を 選択したが、必然的に国内外の所得格差拡大の問題や失業問題、それから地球環 境の問題に直面している。競争一辺倒の経済ではこれらの問題を回避することは 不可能に近い。熾烈な競争がある限り、機械化やIT化による経済の効率化はせ ざるを得ず、結果的に深刻な失業問題や地球環境問題が起こる。  だから、この問題を解決するには、競争一辺倒の経済を改め、雇用や環境を重 視した経済に変える以外にない。例えば新たなビジネスの創生に限界がある中で 失業を減らすには、労働時間の短縮や賃下げにより、企業等の雇用を増やす方策 を行なえば良い。ところがグローバル化した市場経済の中で、企業は熾烈な競争 にさらされているから、このようなことをすれば競争力が低下し企業はたちまち の内に存亡の危機に陥るであろう。だからこそ同時に国内外の制度も改める必要 性がある。グローバル経済のルールを規定しているWTOもまた改革の必要性が ある。すなわち、ある国のある産業が壊滅的敗退に陥らないよう、他国への市場 進出に一定の枠を設けるのである。こうすれば前述した失業問題等への対策も行 ない易くなる。環境問題についてもこの方法により対策がし易くなる。  この方策の副産物として経済の安定化も達成できる。極端な勝者も極端な敗者 もなくなり、景気の浮き沈みが少なくなり、雇用も安定する。そして地球環境問 題への対策も計画的に行なえるようになる。この方策で今日直面している問題は ほとんど解決できる。市場主義経済の限界と矛盾はこうすれば解決可能となるの である。                             ヨウジ *--------------------------------------------------------------------* | Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2 | | PC-VAN:CKG36422 e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp | | NIFTY :BXC02020 e-mail:BXC02020@nifty.com or BXC02020@nifty.ne.jp | | Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/ | *--------------------------------------------------------------------* P.S.今回のジェノバ・サミットを初め国際会議での反グローバル化運動には     深い理由がある。私が考えていることに彼らも気付いているからだ。     環境保護団体が参加しているのも、そのためだ。     近年サミットが形骸化していると言われているが、これは私の指摘が当     たっているからに他ならない。