#7296/7297 連載 *** コメント数(0) ★タイトル (CKG36422) 00/ 6/ 6 12:43 ( 44) @コラムbP68 課税最低限引き下げは問題がある  ヨウジ ★内容 民主党が衆院選直前の今あえて選挙公約として課税最低限引き下げを掲げたこと は一見勇気があり、選挙前の人気取り政策より増しという考え方もあるが、私は そうは思わない。 問題はその中身や理由付けである。民主党の前からの主張によると扶養控除を含 む控除額の減額や全廃により課税最低限引き下げを行なうもののようだ。そして その代わりとして増税分を児童手当の拡充や住宅ローン金利の所得控除に当てる ということだ。しかし、扶養控除等の控除は弱者への配慮を重視する累進課税の 所得税の根幹をなす仕組みである。これがあるからこそそれぞれの苦しい家庭の 生活状況がきめ細かく配慮され血の通った税制になっているのである。それを唐 突に止めて弱者切り捨てを行なうという政策は裕福な自らの支持層中心の発想で あり余りに冷淡に写る。それから増税分で児童手当の拡充や住宅ローン金利の所 得控除に当てるというのも公平さに欠けている。低所得者の生活が苦しい理由は 育児・教育だけではないし、増して貧しいから住宅ローンなど組めるはずがない。 扶養控除等の控除の方がきめ細かく弱者に配慮できるのである。 それから「所得税は広く浅くできるだけ多くの国民が払うべきだ」という主張も 一見理に適っているように聞こえるが、問題を良く考えると誤りであることが理 解できる。夫婦子供二人で課税最低限の年収368万円の世帯の暮らしがどの程 度のものか具体的に知った上で述べているのだろうか。家もない車もない教育費 もない旅行もないレジャーもない節約して節約してどうにか食べて行くだけの世 帯である。この上民主党の言う課税最低限の引き下げを行なうことが何を意味す るか理解していないのではないかと思わざるを得ない。仮に扶養控除と配偶者控 除を全廃すると課税最低限は190万円になる。年収300万円未満の世帯は元 々まともな生活ができない世帯であるのに、これらの人々を見殺しにしようとし ているとしか考えようがない。それから「広く浅く」の課税は大多数の国民の反 対を押し切って消費税が導入され、更に97年4月に税率が3%から5%に引き 上げられたことによって既に実施済みであり、低所得者は既に重い負担を負って いる。これを更に大幅に引き上げることも画策されている中で、課税最低限引き 下げにより更に低所得者に重い負担を強いることは「能無しは死ね」と言うのに 等しく、企画した人の人間性を疑う。 裕福な家は豪邸と高級車を所有し、最高級の食事をし、海外旅行等の大型レジャ ーやヨットやゴルフ等のスポーツを行なうこともができる経済的余裕を持ってい る。低所得者の数倍から数十倍の消費を行ない、環境を汚染しCO2 を排出し 地球環境を破壊し社会により多くの迷惑も掛けている。環境問題を考えても贅沢 な暮らしをする人がより重い税負担をすることは理に適っている。だから直接税 の累進課税は社会的弱者への思いやりだけでなく、環境にも優しいこれから目指 すべき税制でもあるわけだ。政権を目指す政党なら自らの支持基盤を超えた国民 的見地からの政策を立案すべきである。                                 ヨウジ