連載 ★タイトル (CKG36422) 99/ 2/ 9 18:42 ( 84) @コラムbR8 為替レートの怪とアメリカの金融戦略 ヨウジ ★内容 ちょうど1年位前にクリントン大統領が一般教書演説を行ない この中で自慢げに次のようなことを言っていました。 「かつて11個もの0のあった財政赤字が今は0個になろうとしている」 具体的にはこれはクリントン大統領就任時の財政赤字が3570億ドル (44兆6250億円、当時1ドル125円)もあったことを言っています。 しかし、日本円で考えて見ると44兆という額はそれ程大きくはありません。 1年前の日本道路公団の負債23兆円と国鉄の赤字28兆円を加えると もうそれを上回ってしまうからです。同じく1年前の日本の国・地方を合わせた 財政赤字は450兆円もあり、これが現在は600兆円にまで膨らんでいます。 日本の赤字が余りに巨額と考えても、どう見てもこれは日米の貨幣価値が違うの ではないかという疑問に打ち当たりました。 そこで気が付いたのが為替レートです。円が実体経済以上に高くなり過ぎている のではないかと。1年前の為替レートが1ドル125円で、現在は113円位に まで上がっていますが、実体経済では300円以上位ないと釣り合わないのでは ないかと思います。どうして為替レートが実体経済とかけ離れたものになったか。 それは人為的な操作が行われたこと以外には考えられません。ことによるとこれ が現在の日本の大不況の原因なのかも知れません。産業の空洞化も円が実体経済 以上に高くなり過ぎたために海外生産しないと競争に勝てなくなったからです。 それで国内の製造業は競争力を失い急速に衰退してしまったわけです。急速に進 んだ円高が原因です。では、人為的な操作とは何を意味するのでしょうか。 円高になり日本国内では輸入品が非常に安く買えるようになりました。 例えば衣料品が馬鹿見たいに安く買えるようになりました。消費者は良いですが 国内の衣料品メーカーは大変だったはずです。 電気製品も普及品は海外生産し輸入しているので以前の半値以下で買え るようになりました。日本のお家芸の電気製品が海外生産になり日本国内で は価格破壊を起こしました。部品メーカーも全てではなくても海外に出せるもの は全て出してしまったはずです。 それがこの大不況でアジア各国は日本からの注文が来なくなり、一緒に 大不況になってしまったというわけです。全て円高の仕業です。それに バブル崩壊が重なるわけです。 急激な円高で競争力をなくし、株価の暴落で資産を減らすという ダブルパンチを受け日本はとうとうノックアウトになってしまったというわけです。 しかし、1年前から更に円高になったのは何故でしょうか。これもまた 景気回復を遅らせる原因になったはずです。経済法則からしたらこのよ うな場合円安になるはずです。それなのに更に円高になったから 株価がまた一段と下がり、更に景気悪化が進んでしまいました。 これに対してアメリカ側から見ればドル安になり、更に株高となり 好景気を持続させました。 つまり、円高ドル安は日本の景気を悪くし、反対にアメリカの景気を 良くしてきたわけです。 ある操作で円高ドル安を進めれば日本を更に景気悪化させ、 反対にアメリカの好景気を持続させることができるわけです。 例えばヘッジファンドが円を買い捲るだけで一瞬の内に円高に誘導できます。 その後少しづつ円を売って行けばそれ程円安には戻らず これを繰り返すことで次第に円高に操作できるのではないでしょうか。 アメリカの金融戦略とはこれだったのかも知れません。 ヘッジファンドの場合は円を買って円高に誘導して株価も上げておいてから 一気に売ってその利ざやを稼ぐことができます。 巨額の運用資金を持っていますから自分自身で為替や株価の相場を操れます。 自分で操作して上げて置いてから一気に売るという操作を繰り返すことで 短期間に巨額の利益を上げることができます。 巨額の資金を動かせるヘッジファンドですから何でもできたはずです。 円高に誘導して日本の景気を悪化させることも 株価操作で特定の会社を潰すことも またはアメリカの好景気を持続させる操作でも何でもできます。 秘密のベールに包み何でも自由にさせておいたのは このためだったのではないでしょうか。 こういう操作で日本を叩けば叩く程 アメリカの株価は上がり景気が良くなるのです。 日本を叩けば叩く程日本の不良債権が増え景気が悪化し 逆にアメリカを好景気にさせることができるのです。 これはアメリカの陰謀ではないでしょうか。                             ヨウジ P.S.ルービン財務長官はクリントン大統領にこう進言したそうです。     「大統領、それだけ多くのことをやるのならそれは金融しかありません」     ノーベル賞経済学者はこうして招かれました。     経済は循環するものなのに何故アメリカ経済だけこれだけ長期間天井に     張り付いた状態を維持できたのでしょうか。     日本の財政赤字や金融機関の不良債権が短期間にこれだけ巨額に膨らん     だ原因はここにあった。     操作されているものは、日本はいつまで待っても良くならないのではな     いか。