#6805/6805 連載 ★タイトル (CKG36422) 98/11/18 14:29 ( 73) @コラムbP6 混乱する経済  ヨウジ ★内容 近年の混乱する経済をどう説明するか、 これまでの識者にも良く解らないようです。 宮沢蔵相は「今日の状況は良く解らない」と言い 米国のヘッジファンドのある経営者は 「市場は最適な方向へは導かなかった」 と言っています。 「調節できる範囲を超えてしまったから」 と言う人もいます。 市場主義経済は本当に魔法の杖なのでしょうか。 市場の自動調節作用により 本当に経済の公平さと効率が得られるのでしょうか。 現在の世界経済の混乱を観ると 自由へ自由へと進んできた世界経済のあり方には 明らかに何か重大な過ちがあったと認めざるを得ません。 個の自由な欲望の追求の集まりが市場経済の原動力であり これが市場における自動調節作用で経済を最適点に導き 最高の効率をもたらすと信じられてきたわけですが、 本当でしょうか。 それから国内における自由競争と国際社会における自由競争とを 同列に扱えるのかという疑問もあります。 国内の自由競争は国全体の不利益にはなりませんが 国際社会における自由競争には利益を得る国と不利益を被る国が出るので 不安定さと混乱が避けられないからです。 どこの国にも作れる物についての競争にはどのような意味があるのでしょうか。 どこの国にも必要でどこの国にも作れる物は それぞれの国で作れば良いのではないでしょうか。 そういうものはそれぞれの国で バランス良く産業を営めば良いことではないでしょうか。 また、輸出のため遠方の国まで運搬することはエネルギーの無駄使いであり 環境破壊の元になるという面もあるからです。 それから食料のように国の安全保障上欠かすことのできない物もあり こういう物を完全に自由競争にしたために 敗退して自給できなくなることは国家存亡の危機に繋がる重大問題です。 個の利益の最大限の追求は全体の利益と一致するでしょうか。 市場は調節などせず世界経済に大混乱をもたらしました。 個が利益を追求し過ぎたために 全体を混乱させ不利益をもたらし またそれが個の不利益として戻って来るという現象が起こりました。 個(一方)の利益は全体(他方)の不利益になる。 個は全体を犠牲にしない限り利益を得られない。 他方を負かす以外に自分は勝てない。 こうして競争を続けて行くと大部分の分野で敗退し 国が破産する国家も出てくることも起こり得えます。 市場主義経済は経済の公平さと効率を高めるための ものではなかったのでしょうか。 競争に負けた不幸な国を作るためだったのでしょうか。 その国は誰が救うのでしょうか。 競争に勝っておいて負けた国を今度は助けるのでしょうか。 勝ち負けを付けるために世界を混乱させながら 永久に競争し続けるのでしょうか。 国内における自由競争と国際社会における自由競争とを 同列に扱えるでしょうか。 個の利益の最大限の追求が全体を混乱させるという問題は どうやって解決するのでしょうか。 個の最大限の利益追求が経済のある分野の急成長をもたらしますが その後に起こる経済の急失速の問題はどうやって避けるのでしょうか。 グローバル化した市場経済における過当競争はどうやって防ぐのでしょうか。 過当競争は効率ではなく後に莫大な損失と無駄をもたらします。 過当競争とは自由の結果ではないでしょうか。 近年の世界経済の混乱の根本原因は何でしょうか。 このままのルールで経済の不安定さと混乱は避けられるでしょうか。 市場経済は万能でしょうか。 有限な地球に無限の自由はあるでしょうか。 自由を抑制する良い方法はあるでしょうか。 このままのルールで経済と環境は両立するでしょうか?                     ヨウジ P.S.【ヒント】     混乱の元は「量」を抑制しないからです。     経済のあらゆる「量」をコントロールすれば良いのです。