#868/868　●連載
★タイトル (CKG     )  10/12/08  13:36  ( 80)
●新・権力の陰謀��244　中身のない事実認定　　　　ヨウジ
★内容

　一人娘を失うかどうかの我が家の運命が掛かった行政訴訟であったが、不当な
行政処分を追認するだけの結果となった。以下に地裁が下した判決の問題点を指
摘する。

　地裁が下した２４項目の事実認定の中から肝心な２つについて論評する。

　　(3)　２００３年８月２９日の「家出人捜索願」の再届出の日の記述。
　　　　　この中で地裁は、原告が警察署から帰宅した時点では「家出の概要」
　　　　　欄は空欄のままであったことを認めている。

　　　　　これについてはほぼ事実のままであり異議はない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
家出の概要
　家出人は父親との仲が悪く、また父親は門限を破ったり、うそをついたりする
と、その度に暴力で制裁を加えていたものである。家出前日の５月１１日も父親
に厳しく叱られたうえ暴力を振るわれたことから家出をし音信がとだえたもので
ある。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　　(4)　２００３年８月３１日の「家出人捜索願」のチェックに出向いた日
　　　　　の記述。（この日付は間違っている。警察側が故意に間違った日付を
　　　　　書いたものを地裁はそのまま引用している。正しくは翌日の２００３
　　　　　年８月３０日である）

　　　　　　この中で地裁は、「家出の概要」欄の記述が事実に反しているとい
　　　　　う理由で原告が届出をキャンセルしたことと、担当官に登録原票を破
　　　　　かせたことに相当する記述を行なっているが、これについてはほぼ事
　　　　　実のままであり異議はない。事実に反しているのは次の点である。

　　　　　（地裁の主旨）
　　　　　　同記載は、担当官が妻や娘からの聴取内容を、原告が８月２９日に
　　　　　警察署を立ち去った後に記載したものであり、担当官は、その旨を原
　　　　　告に説明したが、結局、原告の面前で同受理票を廃棄した。
　　　　　
　　　　　　担当官はそのような説明は一切しなかった。登録原票のコピーの下
　　　　　方を腕で隠すのに必死になっていて見せようとしなかったので、原告
　　　　　が無理やり手でもぎ取ってやっと見たのである。デジカメで問題の部
　　　　　分を撮影後に担当官に返した。その後、担当官に登録原票の原紙を持
　　　　　って来るように言った。しばらくして担当官が原紙らしいものを持っ
　　　　　て帰って来た。担当官は再び原告に取られないよう警戒して原告の手
　　　　　が届かないところまで遠ざけてそれを持ち２つに破いた。原告は極度
　　　　　の近眼なので朱色の印鑑らしいものが押されていることは確認できた
　　　　　が、それが本物の登録原票であったかどうかまでは確認していない。

　　　　　　しかし、その食い違いは大した問題ではない。問題なのは地裁が「
　　　　　家出の概要」欄の記述は担当官が妻や娘からの聴取内容を書いたもの
　　　　　であり、これを事実として扱っている点である。原告はこれが事実で
　　　　　ないことを２００ページに及ぶ家出前の原告の日記等の証拠により示
　　　　　したが、地裁はまったく根拠を示さず無視した。
　　　　　　本来なら法適用は裁判所の判断に基づき決定されるものが、この制
　　　　　度では確かな証拠もなく先に行政が独断で有罪を決めてしまう。原告
　　　　　は後からそれを知り、権利制限が掛けられたままの状態で無実である
　　　　　ことを証明しなければならないのである。被告は証明しないまま有罪
　　　　　を決めているのに、原告は証明しないと無罪にはならないのである。
　　　　　まったく逆様の不公平・不公正な制度である。
　　　　　　結局、地裁は原告が示した証拠や主張は無視し、被告側の言い分や
　　　　　証拠だけを事実と扱い採用し判決を下したに過ぎない。しかも、法的
　　　　　根拠や適用基準をまったく示さないままにである。特に本件は「ＤＶ
　　　　　防止法」や「ストーカー規制法」が適用対象にしない部分のものであ
　　　　　り、基本法が存在しないからこのような訴訟が起きているのに、裁判
　　　　　所がそれをまったく配慮しなかったり、それに代わる合理的説明がな
　　　　　されなかったことには重大な問題がある。　　　

　この２つの事実認定が訴訟の核心部分であり、他の項目は機械仕掛けで手続き
が進められるだけなのでどうでも良いことである。この認定により制度を適用す
べき切迫した暴力の実態があったのかどうかが決定づけられるからである。それ
にも関わらず原告と被告の主張の食い違いをまったく審議せず実態解明しないま
ま事実認定したり、適用基準を示さないまま判決が下されたことは甚だ遺憾であ
る。　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヨウジ

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