#2749/4530 連載 ★タイトル (CKG36422) 93/ 1/27 18:48 ( 26) ●連載パソ通小説『権力の陰謀』 28.公表 ★内容  信一は陰謀の真相を突き止めた後も再就職に勤めたが、景気は一層悪化し、特にコン ピュータ業界は空前の不況となって行った。 この状況では、陰謀がなくなっても再就 職は困難であろうことは分かっていたが、工作者の暗躍が続く限り、自分の未来の可能 性はないだろうと思った。 そして、「何の理由もないのにやられていることは、何も しないで終わることもない。」と、心に強く思った。  その後、今にも決まりそうな仕事が2〜3あったが、結局決まらなかった。 理由は 不明だが、陰の動きがあったことは感じていた。 経済的にも、いよいよ崖っ縁に立た たされた。 信一は帝都知事に出した3回目の最後の陳情書の中で言った、それを実行 するときが来たと思った。 証拠も残さず裏でやられて来たことは、それを表に出し社 会的に問題にすれば、公正なやり方でその真相が明かにされ、罪を侵していない自分が 助かるだろうと常々考えてきた。 しかし、いきなり報道機関に訴えると、取り上げら れないか、または事前に根回しされ、気違い扱いされ、政治的に無力化されるだろうと 考えた。  そこで、信一は自分のこの20年間を小説にし、大手パソコンネットのHOPE−N ETの掲示板に載せることを思い付いた。 これなら合法的なやり方で、まず自分が健 康な精神の持ち主であることが証明され、なおかつ無力化されずに、自分の身の上に起 こっていることを最後まで公表することができると考えたのだ。 ありのままの20年 間の自分と自分の回りで起こったことが明らかになり、もしも誤解があったならそれが 解け、不正な行いは正され、奪われていた自分の人権は回復するだろうと考えたのだ。  こうして、信一の最初で最後の抵抗が始まった。 それは、平成4年11月4日のこ とであった。                                    ヨウジ                       初版 93-01-27