#2740/4530 連載 ★タイトル (CKG36422) 93/ 1/21 19: 8 ( 35) ●連載パソ通小説『権力の陰謀』 26.在宅勤務 ★内容  TDCサービス椛゙社直後、工作者が信一の家の側に来て、 「どうやら息の根が止まったようだな」 「一生良くならなければいいんだ」 「内でやっているんならいいや」 「よし、引き上げ命令だそう」 等と言い、信一をどこまでも追い掛け回し、つぶそうという組織の暗躍が続いていた。  信一はTDCサービス椛゙社以前から、前に取引のあった兼高技研鰍謔閭pソコン用 ソフトの開発を依頼されていた。 それで、退社すると再就職はせずにその発注を待っ た。 待って待って同年10月末、やっと仕事を受注した。 それから翌平成4年1月 まで、自宅のパソコンでその仕事を行った。 だが、開発の終盤でどう考えても故意と しか思えない仕様変更が続発、これでまた信一は不信感と裏からの圧力を感じた。 何 の混じり気もなく真剣に取り組んでいた信一は意欲をそがれた。 信一はそれでも耐え て最後まで頑張り完成させた。 退職後、郵便局から借金して一家の生計を維持してい たが、1月末その仕事の開発料が入金し、借金をどうにか返済した。  その間も、外出すれば必ず帝都警察や県警のパトロールカーが、わざとそのためと分 かるように、信一の眼前に出現した。 あるいは、買い物先の店内では、 「お前、組織に狙われている」 「一生よくなれないぞ」 「あんなこと言った奴は二度とまともになれないぞ」 「私達の正体知ったら殺されるわよ」 「狙った獲物は絶対に逃さないぞ」 「一生良くならなければいいのよ」 等と言い、一日に一度は必ずその存在を信一に対して告知するかのように、工作者が出 現した。 天気も良く、晴れ々れした気分で出かけた信一は、一挙に言い知れぬ不気味 さと恐怖の中に突き落とされたのだった。                                    ヨウジ                       初版 93-01-21