#2732/4530 連載 ★タイトル (CKG36422) 93/ 1/19 14:35 (158) ●連載パソ通小説『権力の陰謀』 24.エスカレートU ★内容  平成元年6月以降、信一はもうこれ以上転職歴を増やしたくないと思い、渋谷にある 人材派遣会社を尋ね登録した。 この後、2〜3派遣先を紹介され面接に行ったが、ど こも雇ってくれなかったので、そこを通してのフリーエンジニアの道は諦めざるを得な かった。  平成元年7月、信一はパソコン通信で知り合った潟eクノサービスという会社から、 パソコンを使って在宅で働く仕事を貰った。 4次下請け位の仕事で、けっして割りの いい仕事ではなかったが、づうっと収入が途絶えて生活が苦しい時期だったので、受け る事にした。 ところが、7〜8月でぎりぎりに終わらす仕事だったにも係わらず、7 月の1カ月を待っても一向に打ち合わせが始まらなかった。 お客に催促の電話を入れ ても何の連絡も貰えなかったり、打ち合わせ予定日を言われても、次週になると何の連 絡もなく先に伸びてしまうということが繰り返された。 そうこうしているうちに1ヶ 月が過ぎてしまった。 テクノサービスと話し合った結果、8月より社員として働くこ とになり、また、7月の分もある程度保証してくれた。 入社し8月19日やっと最終 顧客である千代田エンジニアリング鰍ニの打ち合わせが始まった。 その後仕事は順調 に進み、2つある内の1つの仕事は10月初めに納入することになったが、何かの圧力 で最終顧客とはもう話しもできなくなり、1つ目の納入も尻切れトンボの形で1次受け の会社へ納入することになったのだった。 突然の措置でもあり、真相は定かではない が、信一にとっては新しい分野を開く名誉ある仕事だったのだが、努力した成果を最後 まで見ることもなく、納得の行かない終わり方であった。 絶えず、得体の知れない圧 力を感じながらのそういう出来事だったから、また帝都職員か帝都警察の仕組んだ事と 思い、心暗くする毎日であった。 この後 11月よりまた別の仕事が始まり、順調に 進んで行くのだが、12月のある日突然、社長より自分には落ち度のないことでこっ酷 くとがめられ、急に険悪なムードになって行った。 そして、翌年より月給を5万円カ ットするという通達を受けた(信一は年俸給与だった)。 何度か話し合いをしたが、 まったく気持ちが通ぜず、世の中がどうにかなってしまったのではないかと思った。  そして、通勤途上で現れる帝都警察官や工作員の影を日々見る中で、また、今度も仕 組まれた罠であることを悟った。 社長はこうも呟いていた。「そんな事やられている 奴、どうなるか見ものだな」。 年が変わり、その仕事はいよいよ全体の6割の外注製 造分の受け入れの時期を迎えた。  しかし、信一が予期していた通り、製造ミスについては何の対応も受けられない方向 に仕向けられ、ほとんどの部分について、信一自身が作り直すことになり、仕事の最後 の段階で、また過重労働を強いられる羽目になった。  同年2月、当初の納期通り納入し仕事は終ったが、疲れ切った体と、また、そういう 状況であったから、信一は2月末で退職したのだった。 だからこの会社は途中から急 に冷たくされるパターンだった。 このころの公権力による嫌がらせは、こういうもの であった。 残業で遅くなり、会社の近くのラーメン屋で夕食をし、田町駅方面へ歩き 始めた時に、道路の反対側で「しょっぴくぞ」の男の声があったことがあった。 昼休 みに会社のビルから外へ出ると、そこに待っていたかのようにパトロールカーが止まっ ていることが何度かあった。 また駅の地下道や街頭でこの様なことも言われた。 「絶対によくなれないようにしてやる」 「一生(嫌がらせを)やることに決めた」 「逆らうからだよ」 「帝都の掟に従ってやってやる」 「追討命令が出ているからね」 「いつの間に差別者になっただろう」 「それまでに下地を作って置いてね」 「もう二度と良くなれないようになっただろう」 「今ごろ気がついても遅いんだよ」  また、自宅最寄り駅前で喪服の男に向かって 「大丈夫だよ、1人だからやり返される心配ない」 と言った者がいた。 またよく言われる言葉で 「弱い奴が悪者にされるだろう」 「弱いものが犠牲になるんだ」 「弱い奴が訓練に使われるんだ」 「何も言えない奴は黙っていろ」 というのがある。 これらの残酷な言葉を来る日も々々も、手をかえ品をかえ電車の中 で、地下道で、街角で、また別の場所でと執拗に浴びせ掛けられて来た。  平成2年3月、原宿の潟}イクロサービス入社。 信一は以外と早く決まったので気 持ちが悪いとも思った。 そして、入社後はいつになく優しく扱われるが、同時に余り 尊重されなかった。 地下鉄や街頭での嫌がらせは相変わらずであった。 「いつも、ハンディー背負わせてね」 「いつも、プレッシャー掛けてやるから」 「絶対によくならないぞ」 「今ごろ幸せになろうったってそうはさせない」 「差別者の意味が分かったか」 「訓練と言ってだましてね」 「これが帝都の掟だ」 「今に誰が見ても駄目な人間にしてやる」 「(自分が定年退職しても)受け継ぐからいいよ」 「子供も差別者にならざるを得ないだろう」 「味方する奴は一緒にやってやる」 「影響力残して置くからいいよ」 「生かさず殺さず」 「一生だぞ」 「お前がぐずぐずしている間に準備したからね、いつでも言ってこい」 「一言で不問に付してね」 「言うと余計不幸になるぞ」 「理由なんてなんだっていいんだ」 「ちゃんと弱みにつけ込んでやってるからね」 「二度と立てないようにしてやる」 「弱い奴のせいにして」 「何でやられるか分かるか」 「何で徹底的にやるか分かるか」 「仕返しされないようにね」 「金がなければやられる心配がない」 「いいながらやると効果があるだろう」(彼らがやろうとしていることを予告しながら                    やると心理的な効果があるの意味) 「復讐されたでしょう」 「今ごろ言ったら気違い扱いされるぞ」  結局、マイクロサービスも翌4月で退職したが、その最後の出勤日の帰り道 「なんか言われただろう」 「血相変えて」 「見事に(会社を)やめた」 と言われたのだった。  この後、少しブランクがあったが、平成2年8月、信一はTDCサービス鰍ノ人材バ ンクの紹介で就職した。 だが、相変わらず苛めは執拗に行われた。 退社後駅までの 路上で毎日数人の誰かが待ち伏せし、明らかにそれと分かるように、 「付き合いの悪い奴は苛められる」 「可能性のあるうちは苛められる」 「何も云えない奴は黙っていろ」 「駄目な奴を苛めるの何が悪い」 「かわいそうな奴を助けるのが何が悪い」 「犠牲者が出たからね」(自殺者が出たの意味?) 「二度と浮き上がれない所に飛ばされた」(これが復讐と思わせる戦術) 「権力に逆らう奴がどうなるかいい見本だ」 「よし、総仕上げだ」(信一を完全に社会的に抹殺するための?) 「引っ越したらそこの村八分にしてやる」 「どこへ引っ越しても日本中捜し出して、また、やってやる」 「不特定多数だ、いったい誰を訴える」 「証拠隠滅したからね」 「訴えられるものなら訴えてみろ」 「悔しかったら矢でも鉄砲でも持ってこい」 「今、おまえを消す奴を探している」 「訴えたら生きて行けなくなるぞ」(訴えなくても着々と信一を追い詰めるための工作                  を進めているのに) 「行政の都合でやめさせたからね」 「ああ、やめさせてよかった」 「正義だから苛められる」 「理由を作ったからいいんだよ」(架空の仕事を断わらせて?) 「あれで試したからね」 「お前に元気でいられると、俺たちの立場がないんだよ」 「辞めてくれるか。 今度で許されるから」(殺し文句) 等々の言葉で、ひつこく付け回し、早く、退職に追い込もうとした。 一度などは車 から爆竹か何かが投げ付けられたこともあった。  一方、社内では 「苛めなきゃならない人がいるなんていやだわ」 「やらないと巻き沿いになるからね」 「絶対に偉くなれない奴なんか邪魔だ」 「わざわざお前の苛め方を教えに来たよ」 「得意になって」 「誰でもできるよ」  平成3年8月に何年ぶりかでディズニーランドへ家族で出掛けた1日もショッキング だった。 園内で楽しんでいると背後で不意を付かれ、この様な言葉を浴びせられた。 「いまになって、幸せになろうなんて、そうはさせないわ」 「一生よ、いいの」 「俺たちが見張っているからよ」 「このまま、黙っているつもりか」 「俺たちの正体知ったら生かしちゃ置かない」  そして、川口駅で夕食のため下車したときにちょうど止まっていた救急車。 駅は閑 散としていて病人もいなかったが、またまた、タイミングをピッタリ合わせた威圧行動 だったのだ。 平成2年2月に近くの銭湯に着いたとき、ちょうど来た救急車との酷似 。  信一は、来る日も々々もこうした公権力による迫害・苛め・嫌がらせ・裏工作を受け て来たが、どの言葉も自分には当たらない濡れ衣だと思った。 第一、遥かに昔のこと なのに、何のために公権力がこんなにまで自分を迫害しなければならないのか。 まっ たく理解し得ないことだと思った。 そして、次第に何か別の理由に気づいて行く。                                    ヨウジ                       初版 93-01-16                       改訂1 93-01-19 最終行他