#2680/4530 連載 ★タイトル (CKG36422) 93/ 1/12 14:54 ( 40) ●連載パソ通小説『権力の陰謀』 11.人事委員会 ★内容  サディストと呼ぶに相応しい彼らによる信一への迫害は来る日も来る日も一日と休ま ず続けられた。 信一の精神状態はある限度を越えていた。 怒りもまたそうであった 。 昭和49年11月のある日、信一は二度に渡り人事委員会へ出向き、その窮状を訴 えた。 それは信一にとって生きるためのぎりぎりの選択であった。 しかし、対応に 当った職員は「具体的処分がないと何も出来ない」との返事で、信一は冷たく追い返さ れた。 冷たい雰囲気とそれに何か陰口を言うのが聞こえた。 信一にとり最後の頼み の綱であったはずの人事委員会(不服申し立ての機関)は、飾りものに過ぎなかった。 人事委員会ではなく人事局ではないかと思った。 そして信一は逆に傷つき戻ってきた 。 信一にはもはや助かる術が何もないように思えた。 帝都に勤めて1年半、内情を 知れば知る程、その醜さが浮彫りになるのだった。 そしてそれは地の底に落ち、信一 の心には虚無だけが横たわっているのだった。    昨日で今年の勤めは終わりであった。 今年を埋め尽くした毎日は苦しみと悲し   みで満たされた。 昨年に続くこの世に生まれて初めての苦難多き年であった。   そして、また、何度涙したことだろう。 しかし、その涙は決して私を苦しめてき   たわけではない。 むしろ、涙は自然が私に授けた私のための泉であった。 私の   苦しみや悲しみは、その泉によって乗り越えられたのだ。 私の心の汚れもそれに   よって洗い流された。 愛に渇いた私はそれによって潤ったのだった。    しかし、現実はそれにも係わらず、私の不幸を指し示し続けている。 有意味な   コミュニケーションがなされることなく、ただ、ただ、一方的な彼らから私への弾   圧が続くだけなのである。 私の思っていることに関係なく、ただ、ただ、私を苦   痛にさせているのである。 だから、私はこのことを今度は私をやめさせるために   やっているとしか受け取りようがないわけである。 5Kgも痩せて半病人になっ   ても、まだ続けているのだから。 そこには何の合理性もないのだ。 そこにはた   だ権力という政治的な非人間的な威圧的な力が存在すると言うだけなのだ。    しかし、もう思い悩むまい。 私はほんの少しの希望を胸に生きよう。 公害防   止のために働いているのだと言うことに生き甲斐を見い出そう。 弾圧には耳を貸   すのは止そう。 サイクリングに救いを求めよう。 身体だけは鍛えておこう。   いざという時のために。 私はこの所臆病になっている。 消極的になっている。   これは私にとっては特にいけないことだ。 これでは私は益々駄目になってしまう   。 雄々しく生きよう。 行動的になろう。 日々目的をもって生きよう。 結局   、この苦境から救い出してくれるものは自分以外にはないのだ。 私自身の意志と   理性が私自身を救うだろう。            (昭和49年12月29日日曜)                                    ヨウジ                       改訂1 93-01-12 10行目