#2679/4530 連載 ★タイトル (CKG36422) 93/ 1/12 14:50 ( 49) ●連載パソ通小説『権力の陰謀』 10.言葉 ★内容  信一は虐待される中で色々な言葉を浴びられたが、次のような意味ありげな言葉もあ った。 「それまでに下地を作ってね」(若山課長)  恐らく、差別者に仕立てるための下地を、こうして信一を皆で苛め広め、また、信一 自身にもその意識を深く植え付けておくの意味だろう。 「それまで」とは後で分かる が 何と十数年先のことを意味していたとは、何と大掛かりな計画的な恐ろしい行事だろう 。 「またとない奴が来た。」(一般職員)  苛めの出来る相手が来たの意味。 これにより組織の訓練ができ、組織力を強化する ことが出来るの意味。 「一人だけ本当のことを云う奴がいるからね。(おちおち悪いこともできない)」                                  (若山課長)  帝都にはそういう差別村の風習があるので、差別に加わらない人間が1人でもいると 危険なのだ。 差別者は孤立させないとやり返される可能性があるからだ。 「一人だけ自分の利益になるよう行動しない奴がいるからね。」(若山課長)  これも前述と同様の意味。 信一は自分の利益に関係なく、良心と正義に基づき行動 する人間だから、不道徳な彼らには信一が邪魔なのだ。 「一人だけ孤立する奴がいるからね。」(若山課長)  前述のような結果、信一は孤立することになる。 「組織が弱くなるからね。」(若山課長)  前述と関連するが、信一のような人間がいると組織に異質なものが入り結束が揺らぐ の意味。 善い人間は残れないのだ。 悪くなれる人間だけが残るから、組織は強固に なるが、腐敗することになる。 これが蔓延すると各行政機関は本来の機能を果たさな くなり、民主主義は崩壊するという重大な問題を含んでいる。 各官僚が自分の権力の 維持を大一義に考える結果、社会的使命がなおざりになるからだ。 だから正義は置き 去りになってしまう。 信一は官僚組織の中に社会主義を見たのだった。                                    ヨウジ                       改訂1 93-01-12 5行目