#2505/4530 連載 ★タイトル (CKG36422) 92/12/11 15:47 ( 26) ●連載パソ通小説『権力の陰謀』 7.希望 ★内容    昨日まで行っていたキャンプの印象について書く。 私は自分が大分大人になっ   たことを感じた。 それは、私の言うことがよく認められたと言うことだ。 つま   り、年上の男であることが認められたのだ。 例えば、歌の指導においてだ。(信   一はギターの弾き語りも趣味にしていたので) そして、私が最も嬉しかったのは   、人の良い人が沢山いたということだ。 まさか、あんなに可愛い娘がいるとは思   わなかった。 まったく失望して諦めていた私であったが、そこに善良な女性たち   を見たのだ。 それは私にとって安らぎであった。 そして、自信であった。 人   間嫌いになっていた私にとっては、何とそれは希望の湧く出来事であったか。              (昭和48年8月21日火曜)    相も変わらず、いいことの一つもない日々が続いている。 その不幸にも慢性に   なってしまって、私にある衝動を起こさせるには至っていない。 こんなこの頃で   も、一つだけ少しの喜びを感じることもある。 それは仕事にも慣れて、引け目な   く振る舞えると言うことだ。 私の喜びは人と接する時やって来るのだ。 すなわ   ち、私の思いやりが発揮される時やって来るのだ。 人に優しく対応すること、そ   れが私の喜びなのだ。・・・              (昭和48年10月3日水曜)  年が明け、昭和49年になった。 年明け早々「人事異動調査」という書類が回って 来た。 信一は、普通1年目で移動希望はしないものと聞かされ知っていたので、初め はこのままいようと思っていた。 しかし、前年の余りの苦役や嫌な出来事を思う気持 ちが強くなり、移動を希望した。 移動希望の理由は次のようであった。   「自己の能力は人と接することで発揮されるので、苦情処理・事情聴取・指導・住    民との接触等の職務を希望したい。」