剱沢大滝見物 2005年10月8日〜10日

メンバー 大ちゃん、かっきー、魚ヤさん、よっしぃー 

10/08 黒部ダム(7:30)---内蔵助谷出合(8:15/8:25)---黒部別山谷出合(9:40)---十字峡(10:35/11:00)---剱沢平(13:20)
10/09 剱沢平(10:10)---岩間滝(10:40)---I滝(11:00)---I滝登攀3P目(15:05/15:30)---I滝(16:40)---剱沢平(17:30)
10/10 剱沢平(8:30)---十字峡(9:30/9:45)---内蔵助谷出合(12:15/12:40)---黒部ダム(13:50) 

  

雨の下ノ廊下を歩く 雨の十字峡
本降りの中懸垂2回で剱沢に降り立った I滝の頭が少し見えたっ!
ガスの中に双耳峰が浮かぶ これ以上の前進は危険
増水し続ける中を撤退開始 剱沢で泳ぐアホ4名様
渡渉も慎重に 剱沢平の我が家
10月の連休は大ちゃんのお誘いに乗り剱沢大滝を見に行く事になった。
あわよくば焚き火テラスまであがってI滝上の廊下帯を覗いてみようとの計画だ(^-^)

当日は無理やり仕事を18時に切り上げる。魚ヤさんの22時半に迎えに来るようにとの過酷な指令の為だ^-^;
一度家に帰ってパッキングを仕上げてあわただしく出発。 連休のアルペンルートを目指すのだからしかたがない。
予定の22時半に少し間に合わなかったが無事に京都で魚ヤさんを拾って夜の高速道路を飛ばす。
紅葉シーズンの連休と言う事もあり扇沢の混み具合が心配だったが無事に駐車場に止めることができた。
扇沢にはすでに埼玉チームの大ちゃんとかっきーが到着していて仮眠をとっている。 関東は近くてうらやましい。

だらだらと準備をしてるうちに埼玉チームも起き出して来た。沢登りスタイルに着替えてガチャ類を選別。
だんだんと明るくなり周辺の山が真っ赤に染まる。このあたりはいいかんじで紅葉している。
しかし、今日はどうやら天気は下り坂で雨が降り出す予報だ。

トロリーバスの第2便はそれほど混んでる事もなくゆったり座って黒部ダムに到着^−^
旧日電歩道の案内にしたがって駅の外に出てみると、どんより雲ってはいるがまだ雨は降り出していない。
目の前には黒部川の深い渓谷、その向こうには丸山がど〜んと座っている。
下の廊下を歩くのは初めてなのでとても楽しみ♪ 今日はなんとなく物見遊山気分^−^
まずはつづら折れの道を川床目指して一気に下っていく。

天気は下り坂なのだがさすがに連休! 下ノ廊下に向かう登山者がとぎれることなく続いている。
下りきったところで左岸に渡り、あとは延々川沿いにつけられた道を進んでいく。
ダムの観光放水を下から眺めるのが楽しみだったのだが残念ながら今日は中止になっていた。
どうやら行方不明者捜索の為に放水を止めるよう富山県警から依頼があったとのこと。。 それは仕方がない。。

多少のアップダウンをまじえながらほぼ水平に道を進んでいくと内蔵助谷出合に到着。
見上げると丸山の東壁がそそり立っている。素敵なところだな^−^ 

ここからは下ノ廊下の絶景が続く!! 旧日電歩道を作った人たちに敬意を表しながら歩いて行く。大したもんだ。
この辺りからついに雨が降りだした。。 大ちゃんと僕は雨具を着込んで歩く。
鳴沢や新越沢を眺めながら歩いて行く。 黒部別山谷を過ぎると白竜峡の領域に入った。
長年写真で憧れ続けてきた光景が実際に目の前に次々あらわれる。。 カンドーしたっ!!

そしていよいよ十字峡に到着。 ここからはいよいよ剱沢に進路とるのだが降り続く雨に少し不安になる。
とにかくまずは腹ごしらえ。パンをかじる^−^

雨はいよいよ本降りになってきた。のんびりしてたら渡渉が困難になるだろう。急ごう。。
赤テープの目印から踏み後に入る。 まずは剱沢右岸の尾根を急登しゴルジュ帯を高巻く。
ぐんぐんと高度を上げると右に入る支尾根に踏み後が続いているのを発見。 今度は支尾根を下っていく。
途中、FIXロープや踏み後のある狭いルンゼを横目に見ながらまだ欲張って下っていくと行き詰まってしまった^−^;
仕方がないのでここから懸垂下降をすることにする。 
このまま尾根沿いに降りてしまうとゴルジュ帯に降りそうなので左の小尾根を乗り越した向こう側の谷筋に降りることにする。
この懸垂下降が大変。 ルンゼを跨いで小尾根に乗っかるのだがここがチロリアンブリッジ状態になる^−^;
エイト環でのチロリアンブリッジは進めるもんじゃない。。 ヒーヒー言いながら強引にロープを手繰ってなんとか小尾根に乗っかる・・・  
他のメンバーもヒーヒー言うてる^−^ こういうのは見てるのは楽しい♪

もう一回の懸垂でいよいよ川床に降りたった。 雨はどんどん強くなる。
この分だと上流もえらい降ってるやろなあ〜

そこからすぐに最初の渡渉がある。
剱沢の水はとても冷たいと聞いていたが、今日は雨で薄まってるのか平均的な黒部の水温らしい。
すぐにもう一度渡渉。まだそれほどの増水もないので難しくない♪
剱沢と言えどもこのあたりは普通の河原。 次の渡渉ポイントを渡るとき谷筋の奥についにI滝の滝頭が見えた!!
みなで感動♪ しかしなんだこの地形は!! 普通の河原がこの先で急激に狭まり遥か上まで岩峰の壁がそそり立っている。
目の前に広がる景色は陰惨そのもの。。  地獄の入り口と言うものがあるならばこんな感じだろう。

もう一度の渡渉で右岸に戻り、腰まで浸かりながら進むと剱沢平に到着した。
ここが今回のベースキャンプ地だ。 時間が早いのでシェルターとツエルトを設営してから偵察に出ることにする。
出来れば今日のうちに前門にあたる岩間滝にFIXロープを張っておきたい。

身軽な格好でFIX工作に出発。剱沢は刻々と水嵩を増やしているようだ。
左から入るトサカ谷を過ぎると本流は増水でイタドリの台地に追い上げられた。
密集するイタドリを掻き分けながら巻き気味に進み適当なところで川床に戻る。ここからは渡渉するしか前進は不可能になる。 
「流されたら終わるよなあ〜」って思いながら躊躇してると大ちゃんが流れに隠れた岩をぴょんぴょん飛んで対岸に渡ってしまう。
「ありゃ〜 いっちゃったよ〜^−^;」  しかたがない渡るか・・・  残りの3人はロープで確保しながら渾身のジャンプで左岸へ渡った。

右からのガレ沢を通り過ぎ、ザレザレの斜面から大岩を乗越えるともうそこは大滝の領域に入ったようだ。
川幅は狭まり両岸切り立った壁がはるか頭上まで延びている。
圧倒されながらも進んでいくがいよいよ渡渉不可能な場面に出くわす。 この水量じゃどうすることも出来ない。 
偵察はあきらめてキャンプ地に戻ることにした。 目の前に岩間滝が見えてるのだが近づくことさえできない。
沢は滝のすぐ先で左に曲がり、そこにまだ見えぬI滝が落ちている事を全員が知っているのだが・・・
大ちゃんが言うには今までいくつものパーティが滝を見に来たけど見ること叶わずに手前で撤退することが多いらしい。
僕達もその理由がなんとなくわかった。

雨が降り続くなか急ぎ足で戻るが先ほどの渡渉ポイントでは渡ることが不可能までに水位が上がっていた。
しかたがなくそのまま左岸を下ると白泡の壁が立ち塞がった。
まずは大ちゃんが壁をへつっていくが壁の中ほどで進退窮まっているようだ。こういうのも見てるのは楽しい(^−^)♪  
どうするのかなと思っていると白泡に飛び込んじゃったよ〜(・O・)
みんなから「おお〜」っと歓声があがる。 そうか今日の水温なら泳げるのだ。
剱沢の水は浸かるだけで身体が硬直するくらい冷たいと言う固定観念が泳ぐ事を頭から除外させていた。
それでもなるべく泳ぐ距離は短くするためにがんばってへつろう(^−^; 意を決して飛び込む。
岸にあがったときはさすがに全身ブルブルで歯の根はがちがちと震えてるがやっぱり楽しいねえ^−^
その先で渡渉できそうなポイントに出たのでロープで確保しながら右岸に渡る。
足元をすくわれそうな流れだが全員無事に渡り終えてやっと緊張から解放された。

テン場まで戻り、あとは剱沢と言えども宴会はいつもと同じで焚き火を囲みながら楽しい時間を過ごす。
相変わらず雨が降り続いてるのがすこし気分を滅入らせる・・・
睡眠不足も手伝い、宴会も早めに切り上げ寝ることにした。

 

この先を左に曲がれが大滝が待っている♪ 渡渉は万全を期して
I滝48m!! 滝下は瀑水で暴風雨のようだ
大凹角ルンゼからの取り付き 双耳峰大凹角ルンゼ
取り付き点から見下ろした剱沢 こちらから見るI滝も美しい♪
明るくなって目が覚めるとすでに大ちゃんは焚き火の火熾しをしている。
雨は夜中にあがったようだ。 まずは心配な沢の状態を見てみるとあきらかに減水している。
これは行けるかもしれない!!  目的の焚き火のテラスは無理でも行けるだけ行ってみよう。

のんびり朝食をとっていると、なんと下流から3人パーティが上がってきた。
僕ら以外にもやってくる人がいるとは思わなかった。 どうやら大阪の山岳会のようだ。 
聞くとI滝を見にきたとのこと、時間を惜しむように先に進んでいった。

僕達もあまりのんびりとはしてられない。 しかし、やっと出発出来たのは10時を回ってからでした(^−^ゞ
イタドリ台地を越えて昨日の渡渉点では苦労せずに渡る事が出来た。
やはり水量が全然違うな♪ そのぶん昨日より水は冷たくなっているようだが。

昨日の撤退場所まで進み、渡れなかった渡渉点をジャンプで越える。 大岩を巻いていよいよ岩間滝の通過にかかる。
通常は左岸の岩壁につけられたFIXを頼るかアブミの架けかえで越えるようだ。

真ん中の大岩もなんとか登れそうに見える。まずは魚ヤさんが頑張る^−^
すると先ほどの3人パーティがちょうど降りてきてロープを垂らしてくれた♪ ラッキー!
これでだいぶ時間短縮できました! その節はありがとうございます♪
3人組は無事に滝を見て戻ってこられたようで興奮気味に降りて行かれました。

さて、僕達ももうすぐ見れそう!! 大岩を登ると今度は左岸に渡渉しないといけない。
ハーケンを打って持ってきたロープをFIXしエイっと流芯を飛び越える。
帰りのためにロープは固定したまま進んでいく。
腰までつかりながら左岸に移動し前方を見上げたらついにI滝がその全貌を見せてくれた!!
両岸はるか上部まで垂直の岩壁が立ち上がり、そのV字に切れ込んだ底から爆水が噴出している。
右手の大凹角ルンゼを従えた姿に恐れさえも感じる。 今まで見たどの滝をも超えてしまう景観だ。
滝近くの複雑な流れを飛び越えながら滝下に近づく。 そこは滝の飛沫と爆風で暴風雨のようだ。
僕達は感激し写真を撮りまくった^−^ 

時間はすでに11時。 どこまで行けるかわからないがとにかく行ける所まで行ってみよう。
大凹角ルンゼのガレ場を少し登ると取り付きに登る為の取り付きについた。 安全策のためここからロープを出す事に。。
魚ヤさんが登っていく、少ししてオッケーの合図があり登っていくと小広い台地になっている。
ここがI滝登攀の取り付き点のようだ。 頭上に凹角がありその上にハングがある。

  

凹角を登る魚ヤさん 大ちゃんをフォローする魚ヤさん
3P目終了点の腰掛け岩から見た剱沢 懸垂でトラバースバンドまで戻ったところ
白竜峡を行く僕 黒部ダムまで戻ってきました^−^
1P目 WA1 魚ヤさん
頭上の凹角を登る。途中ボルトが打ってあった。
アブミを使いながら凹角を抜けると懸垂支点があり短いがここでピッチを切る。
この先はハング下を左にトラバースして上に抜けるようだ。FIXロープが張ってあるので迷わず使う。
4人いてるので全員が登るのに結構時間がかかる。 この調子では焚き火テラスまでは無理そうかな。

2P目 V よっしぃー
トラバースの先からは泥まじりの岩壁になっている。何本ものFIXロープがありややこしい。
昨日の雨で泥がぬかるみ足元が不安だがFIXロープのおかげでなんとか登れる。
ハングの横を登りきると従来の1P目終了点があるが無視して登る。
ここからは完全な木登り。急斜面をブッシュをたよりに力任せに登る。
途中にあったやや太い枝を利用してピッチを切る。

3P目 V 
ここからも木登り。枝を掻き分けながらヒーヒー言いながら登っていく。
従来の2P目終了点。ここは腰掛岩になっていて本流下流部が見渡せて気持ちがいい。
4人ならんで岩に腰掛けてる姿はなんとなく滑稽な感じがしてみなで笑う^−^
遥か下にI滝の落ち口が見えている。しかしこの時点で15時半。タイムリミットだ。

すぐ上に焚き火テラスへの下降点の松の木が見えているが残念ながら引き返すことにする。
釣り師&中年ハイカーの僕達でも焚き火テラスまでたどり着ける確信が持てたのは大きい。
僕達はなんだか忘れ物をした気分を残しながら懸垂下降に移った。
次は焚き火テラスに立って廊下帯を覗いてみたい、出来る事ならその奥へ続く禁断の地への思いが強くなる。

懸垂3回で大凹角ルンゼのガレ場に降り立った時はすでに16時半を回っていた。
あとは日暮れとの闘いだ。急ぎ足で沢を下降していく。
テン場にたどり着いたのは日暮れ寸前の17時半。 緊張から解放されて今日はのんびり宴会をする。

翌朝は黒部ダムまで戻らないといけない。
8時半には剱沢平を後にした。朝一から腰まで水につかり悲鳴をあげる。
I滝が見える河原で再訪の誓いをし、下部ゴルジュ帯の高巻きに移る。
急斜面を枝につかまりながら登ると狭いルンゼに飛び出し、そこを登りきると支尾根に出た。
ここからは初日に歩いた道だ。 迷うこともなく剱沢平から1時間で十字峡に降り立った。

下ノ廊下はたくさんの登山者で賑わっている。 この道も油断すると危ない。毎年事故がある道だ。
内蔵助谷まで戻ったときに放水を始めるサイレンが鳴りひびく。 
いままで澄んでいた黒部川の水が抹茶ミルクのように濁っていく。

黒部ダムまで戻ると往きに見ることが出来なかったダム放水を見上げることができた^-^
みんな充実した顔している^−^  とても楽しい3日間どうもありがとう。 

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