黒部川 嘉々堂谷 2009年10月10日〜11日

メンバー d氏、はっしー、あう 

10/10 嘉々堂谷出合(6:30)---2m滝(6:50)---30m滝(7:50/8:10)---30m滝上河原(15:25)---左枝谷40m滝手前テン場(15:50)
10/11 テン場(5:35)---5m滝(7:10)---10m滝(8:50)---1240m二股(10:55)---1350m二股(11:15)---北方稜線(13:05)---駒ケ岳(13:35)---登山道分岐(14:30)---とちの湯(17:40)

本文中の赤文字は写真あり

嘉々堂谷出合から廊下が続くし なんか水多いし
へつって進むし 1mの段差でさえも苦闘やし
2m滝は左壁を登るし 2段15m滝の下段10mやし
どんどん廊下を進むし 両岸狭まり何やら出そうな気配やし
出ました30m滝やし 高巻き途中から谷を眺めるし
河原に向かって懸垂下降4回やし 廊下は続くし
側壁は高いが川床はゴーロ状やし 左から枝谷が40m滝が落ちるし
もうどっぷり秋ねえ〜 沢登りシーズンもカウントダウンに入ってきたし〜。
先日の早出川で精も根も尽き果てたように思えたがまだ何かやり残しているようなないようなあるようなないような・・・
まだ10月の連休も残ってることやし。  そうだ黒部に行こう!

思い立ったが吉日。さっそく普段何をしてるかわからない黒部の変態d氏に連絡してみると、「ええよ〜」との返事。
折からの金欠病のため交通費の一番安くつきそうなエリアはと考えると・・・ やはり下流部左岸になるわよねえ。
昨年サンナビキ谷に入ってるので今回はお隣の嘉々堂谷にしよう♪ 過去の記録を見てみるとなんか楽しそうなとこみたい。
するとはっしーから「連休何すんの〜??」と連絡が入り、「かかどうだんに行くわよ」と返事をすると「ほな参加しちゃう〜」との返事。
てなわけで3名での沢行きとなった。

さて連休も間近となる頃、なんと台風18号が黒部の間近を通過。マジかっ!?
1時間おきにネットで黒部川の水位とライブカメラをチェックするが水がなかなか減らない。
言うてる間に出発の金曜夜になってしまった。 とりあえず、無理なら引き返そうってことで現地に向かうのだ。

d氏がヘルメットを忘れたりなんだかんだあったのは省略して嘉々堂谷の出合に着いてみると・・・
黒部川本流はダムが放水を止めているので大したことはない。
で、問題の嘉々堂谷はと言うと・・・ 「多いね〜」 お魚釣りでなんどか先っぽだけ入ったことのあるd氏がのたまった。
まあ、とにかく入ってみよう。 
谷は出合から両岸が立った廊下となっている。 
最初は河原状で問題なし。どんどん進もう。しかし、両岸が圧縮してくると問題ありだわ。
へつりなどでかわしながらずりずりと前進。谷が右に曲がる個所が1mほどの段差だがそれさえも越えるのに苦労する。
その次の
2m滝はd氏が釜の左を泳いで滝の左壁を登る。 水の勢いに押されっぱなしで、すでにアップアップ状態。
ほんまに行けるんやろか。 なんとなく不安になる。 すぐ目の前には
2段15m滝が立ちはだかる。これは無理やし。
ありがたいことに左の壁は高くない。草付きの泥壁を登り小尾根を越えて2段15m滝上に降りる。

さてさて滝上からも廊下は続いていく。 おまけにどんどん両岸の側壁が高くなり圧縮してくるなりよ。
これぞ黒部の谷って雰囲気だあ。 この景色を見るとなぜかみな笑顔になる。 黒部はやっぱりこうでなくっちゃねえ。
水の多いなかをぐりぐり進んでいくと谷が右に曲がる。 その先を覗いてみると出ましたっ!
この谷最大の
30m滝! 飛沫で谷全体が白く靄ってる奥に岩の割れ目からドバドバ噴き出す圧倒的な水。
「えげつな〜!」「これは反則やあ」など最大級の賛辞を並べる。 わおわお〜!

しかし見惚れたあとはこの滝を越えなければならないのだ。 まわりは高い高い壁に囲まれている。
過去記録によると左岸巻きが常道らしい。どこかに弱点はないかなあと探しながらうろうろうろ。
すると、傾斜はきついがこれは行けるかもと思えるような小尾根がある。よくよく見ると取り付きに残置ハーケンが一本。
やっぱりここしかないわあ〜ってことでそこに決定。 登る場所が決まったのでみなで仲良くTOPを譲り合う。
で、やはりd氏がロープを引っ張ることに。がんばれ〜

1P目は唯一の立ち木まで泥壁を斜上していく。 にゃんとd氏は立ち木のビレイ点でカメラを落とさはった。ありゃりゃあ〜
まだ下にいた僕が救出に向かうが10mほど滑落して水の中に沈んでいるのを発見。二度と起動することはなかった。 残念。
2P目は垂壁の裏の急なルンゼを登り壁の上で切る。ザックの荷揚げがあるので小刻みにピッチを切るなりよ。
この頃から入渓時では晴れていたのに雨が降り出した。残念ながら天気予報は当たってしまったようだ。 いやあねえ。
3P目は垂壁上から直上。雨はやむ気配なく降り続き、水が増えないか不安になりながら谷をのぞくこと多数。
4P目も直上し最後は右に斜上し尾根上で切る。5P目は灌木が出て問題なし。 安全地帯でも念のためロープを引っ張った。
谷を見下ろすと河原が見えたのでd氏がいったん懸垂で降り始めるが真下は30m滝の落ち口らしく尾根まで引き返してきた。
尾根上から下流の方向を眺めるとすぐそこに黒部川の送電線が見えている。ぜんぜん進んでないし〜
今度は尾根をもう少し登った地点から
懸垂下降4回で河原に降り立った。途中古い懸垂支点が残っていた。
悪い高巻きと下降地点のミスを含めて予想以上に時間を食ってしまったなりよ。(高巻き7時間??) 

高巻き中に降っていた雨はいったんあがったようだがいつでも降りそうな空模様。言うてる間に夕方も近いし。
まだまだ廊下は続いていくようなので適当なテン場を探しながら前進することにしよう。
両岸は高いままだがしばらく悪場もなく進む。前方に
左から枝谷が40m滝で入るのが見えたところで三者会談。
さっき良いテン場があったし、この先にあるかどうかわからんので本日は終了することに決定。
少し戻った砂地を整地してツエルトを張る。焚き火の準備をしてると再び雨が降り出した。
焚き火はあきらめてツエルトの中に逃げ込む。これ以上増水しないことを祈りながら早々に眠りについたのでした。

 

出発早々ゴルジュを高巻いた 4m滝
釜を持った8m滝は左から 高い壁の中を滝場と河原が次々出てくる
5m滝は右壁から 3m滝は泳いで右から
落ち口で水流を飛ぶ 壁は高いが明るい渓相
8m滝は左の外傾するバンドから越える 廊下はまだまだ続く
翌朝は4時に起床。今日は雨の心配はなさそうだ。心配だった水量は昨日から増えも減りもしていない。
真っ暗な中のろのろと朝食を食べてだらだらと撤収作業。寒いなりよ〜
今日はどこまで進めるかわからんが昨日の遅れを取り戻すために5時半すぎに出発。

まだまだ薄暗い中を進んでくと、すぐに昨日見た左枝谷の40m滝に到着。そこで谷は右に曲がり2m滝をかけていた。
朝一から水流をかぶりながら流芯横のカンテ状を登るとすぐ上から
ゴルジュが続いている。あう〜
この水量では泳ぐことも考えられない。d氏がロープを引っ張って右壁上のバンドまで上がる。
しばらくバンドを進むが降りれる場所がないので灌木のある場所まで登り
懸垂で河原に降り立った。(高巻き30分)
出発すぐのアトラクションに先が思いやられる。ゴーロ帯ではスピードを上げて、悪場のために時間を温存する。
すこし歩くと右からの枝谷が5段滝で落ちている。そのすぐ先の
4m滝は左から容易に越えることができた。
今度は左から枝谷が30m滝で出合う。これだけ壁が高いと支谷はどれもこれも立派な滝になっているねえ。すごいわねえ。

お次は
釜を持った8m滝が登場。釜はうずをまいてるし。ここは左のバンドをたどって最後はアブミで滝上に乗り上がった。
5分も歩くと次の滝場が現れた。最初の
5m滝ははっしーがロープをひっぱり右壁から越える。
続く
3m滝も右からこえれそうなのでまずは僕が泳いで取りついてみる。水は冷たいが問題なく落ち口へあがれた。
落ち口で水流を飛び越えてすぐにもう一度対岸に飛んで滝上へ抜ける。

まだまだ
両岸は高いが少し谷幅が広がり明るい渓相になる。こういう場所はスピードアップ。びゅーん!
どんどん進んでいくとまたまた両岸狭まってくる。廊下の中を進むと右から結構な水量のある支谷が滝となって出合う。
これは地形図700m付近で出合う支谷かな。本谷も3m滝をかけて同じ釜に注いでいる。水量では1:0.9くらいに見える。

再びスピードをあげて進んでいく。30分も歩くと
8m斜瀑が登場。ここは左の外傾するバンドから登っていくなりよ。
滑りそうでいや〜な感じ。最後は落ち口のスラブに飛び降りる。こわっ。  谷は
まだまだ廊下が続いていくのだ

 

大股を開くd氏 連瀑帯は左から高巻いた
高巻き後落ち口から見下ろす 末広がり7m滝
こちらの連瀑帯も高巻き 7m滝は左の溝から這い上がる
壁はなくなり威圧感はなくなる どんどん高度を上げていく
まだまだ高度をあげていく 駒ケ岳のてっぺん
サンナビキ山方面の展望 駒ケ岳(奥)と とちの湯への登山道
廊下の先には連瀑帯が待ち構えていた。一目見てこれはあきませんわあ。て、ことで左から高巻くことにする。
ずるずるの草付き泥壁をヒーヒー言いながら登り灌木帯までたどり着いてヤレヤレな気分。枝を頼りに登っていく。
傾斜が緩みあとは藪をかきわけて進む、いったん左から入る枝谷に降り立つ。これは地形図820m付近で出合う支谷か。
すぐに対岸の藪に分け入り、そのまま歩いて川床に戻ることができた。(高巻き12分)
落ち口から見下ろすとなかなか豪快な景色だわ。

2条4m滝は右から越えて少し進むと
末広がりの7m滝が登場。これも無理っぽいなあ。
左から巻き越えようと登り始めるとなんとその上は
連瀑帯になっているではありませんかあ。
これはちょっと登れそうになさそうな感じなのでそのまま高巻いていくことにする。(高巻き15分)
滝上は穏やかな渓相だ。やっと廊下帯から抜け出したらしい。ゴーロをどんどん登って行く。
もう悪場は終わりかと思ってたら最後に
7m滝が登場。ここは左のCSのある溝を登る。
d氏がアブミを使って乗り上がり後続をひっぱりあげた。

これですべての悪場は終了。時間はまだ10時前だし。どないしよう。今日もあーだこーだと三者会談。
一応2泊分の用意はしてきたが、なんとなくこのまま稜線まで抜けてしまおうって雰囲気になる。
ここからは傾斜の増してくるゴーロ帯をひたすら登るのみ。
壁はみごとになくなり穏やかな世界になっている。
1240m付近の二股を右に進みすぐ次の二股は左へ。 みなヘロヘロになりながら
高度をあげて行く
さっきまでのスピードはまったく影を潜めているのだ。 足重い〜 もうあかん〜 みな口から出るのは泣き言ばかりなり。
その次に出た1270m付近二股を右にとり駒ケ岳と北駒ケ岳の最低鞍部を目指す。

そのまま進むと北駒ケ岳に寄りすぎるので適当なところで西に向かうルンゼに入る。
ここからがまたやっかいな斜面だ。滑り落ちそうなルンゼをずりずりあがる。
草付き泥壁の急斜面をだましだまし登って最後は少し藪を漕いで北方稜線の登山道に飛び出した。ほんまにやれやれやわ。
稜線には駒ケ岳に登る登山者がたくさんいてはる。さすが秋の連休だあ。 ここからは我々も中高年ハイカーに変身。
最低鞍部にザックを降ろして空身で駒ケ岳を目指すことに。疲れた身体に登りはこたえる。
ぐだぐだになりながら
駒ケ岳(2002.5m)のてっぺんに到着。雲は多いがまずまずの展望だ。
後立山の稜線は冠雪していて真っ白になっている。眼下には昨年に登った
サンナビキ谷も見えている。感慨深いなあ。
頂上には今から下山に使う予定のとちの湯までの登山道を整備した方がおられたので状況を聞く。

頂上の標識で記念撮影してから下山にかかる。まずは鞍部まで戻りザックを回収。
北駒ケ岳までよれよれと登り返し。そこから200mほど先にある分岐を右に入りとちの湯方面に進路をとる。
とちの湯までの登山道は最近再整備されたらしくきれいに藪は払われているが傾斜がきついのでフェルト底では何度も滑った。
今朝から1500m以上登って1800m弱下るのでもうヨレヨレ。最後はボロボロになりながらなんとか日没寸前にとちの湯に到着した。

嘉々堂谷はさすがに厳しい谷でしたが、厳しいながらも楽しく過ごせたのは力あるメンバーのおかげです。感謝。

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