天然のマングローブが群生した湿地帯に無数の片手だけが大きくて来い来いしている蟹とむつごろうがぴょんぴょん跳ねる。ヤモリの尻尾はエメラルドグリーンからコバルトブルーへのグラデェーション。ナイフでつきさされているような暑さ。唄と詩。踊りと舞。沖縄三味線の音が心臓を叩く。濃い顔立ちの陽気な現地の人柄に吸い込まれる。寝るのが惜しい濃厚な旅だった。 そう、撮るよりも盗みたくなるような何かがそこにはあった。かぶりついたマンゴは八重山の味がした。