b. 「教会創立5周年を迎えて」(横浜港南台教会誌「若木」1985.6.30から)

 今日、私共は教会創立五周年を迎えました。神様の導きを感謝し、この日を喜び、祝いたいと思います。

 私共の教会は、横浜磯子教会の、新興住宅地として開けているこの地域に教会を建てたいという祈りから出発しました。そして、その祈りは神奈川教区全体の働きとして支援される形をとって具体化されました。ですから、教区の諸教会の篤い祈りと多額な献金によって誕生してきたわけです。この間、教会の歩みは四つの時期に分けられると思います。第一はY兄、S姉宅でもたれた準備のための家庭集金の長い八年間。第二は、土地と会堂が与えられ、教区の諸先生の応援をいただいた無牧の一年間。第三は吉田先生をお迎えして教会の基礎作りをした二年間。そして第四は私の赴任から今日までの約二年間。この四つの時期に分けられます。それぞれの時、それぞれの喜びと苦労があったろうと思います。無から有を起こすことは、大変な力を必要とします。私は今日まで教会を建てるため、惜しみなく支え、捧げて下さった皆様に心から感謝しています。この感謝を、これから形造られる教会において表わしていきたいと思っています。創立五周年を迎えた今日教会員の皆様と心を一つにして、キリストの体を造ることに向かって新たな決意をしたいと思います。

 現在、私共の教会に来られる方は、色々な教派的伝統の中で信仰生活をしてこられています。それこそ無教会からカトリック教会まで多様な人々の群です。自分の信仰理解、教会観を絶対視しないで他を受け入れ、充分な話し合いの中で教会形成を模索することが何より大切です。ひとり独走することなく、民主的な会議によって事柄を進めていきたいと思います。

 又、私共の教会は、幸い近い所から集まる地域教会です。この地域の人々に、キリストの福音を伝道し、仕えることが第一の使命です。この使命に向かって全力で励みたいと思います。そして、今一つ大切なことは、教区の諸教会の支援で誕生したことによって、教区、教団の宣教と積極的に関わる路線を引かれたということです。孤立的でなく、他教会と連帯するように求められていることは、教会にとって何よりの恵みです。

 教区は、寿町での野々村牧師の働きを支え、ここから学ぼうとしています。又厚木基地爆音訴訟、在日外国人の人権問題(指紋押捺)、靖国問題、そして、キリスト教主義学校との連携等を宣教課題にしています。世界のキリスト教界は大きく動いています。キリスト教の教義を教え、教会の伝統を受け入れた者に洗礼を授ける求心的な伝道にとどまらず、社会と関わり、正義と公平と愛を具体的に形造る教会のあり方が求められています。固定的なイデオロギーや虚無的な破壊主義でなく、キリストの福音に根ざした「共に生きる」世界が望みだからです。私共の教会が、このような成人した社会的責任を担う教会に成長するように、共に歩んでいきたいと思います。 

(横浜港南台教会秋吉隆雄牧師記)

最終更新日 2018.10.21