◇牧師室より◇
今春から礼拝後に「平和の祈り」を唱和するようにしました。発端は、私たちの教会には「祈りが足りない」という声を聞いた方から、礼拝後に祈りを唱和するのはどうか、という提案を頂いたことでした。 「平和の祈り」は、「フランシスコの祈り」として知られている祈祷文ですが、実際の作者の名前は分かっていません。フランシスコ会がこの祈りが書かれたものを配付したことから、この名が付されたようです。 この祈祷文が最初に発表されたのは、1912年に発行されたフランスのカトリック団体の月次報告書だったとのこと。「ミサにおける美しい祈り」として、無署名で発表されています。1912年という時期は、第1次世界大戦(1914〜1918年)直前です。平和を願う祈りの中で誕生し、第1次大戦下で、平和を求める人たちの間に、広がっていったのだと思われます。 やがて、この「平和の祈り」は、プロテスタントでも用いられるようになり、その際に「アッシジのフランシスコによる平和の祈り」という名で広がったと言います。 マザー・テレサは、彼女の修道会でこの祈祷文を毎朝唱え、1979年のノーベル平和賞授賞式においても聴衆に共に唱和することを呼びかけました。また南アフリカでアパルトヘイト政策に対して非暴力抵抗を行ったことで1984年のノーベル平和賞を受賞したツツ主教も、この祈祷文を愛唱していたということです。 ミャンマー、ウクライナなどでは紛争、戦争が続いており、私たちの国でも、軍備の強化が進められている今日、「平和の祈り」が必要になっています。 (中沢譲)