牧師室より

紫色の実が美しいムラサキシキブが里山の彩りに加わる季節になった。成長すると3mほどの木だ。同じシソ科ムラサキシキブ属に、木が背丈ほどにしか育たず、実がやや大きく多く実り、枝がしだれるコムラサキがある。野生もあるが庭先に好んで植えられる。両種は、葉と実の位置関係のわずかの違いで見分ける。

先日、鎌倉小町通り界隈を久しぶりに歩く。老舗の前庭などに散見されるのがコムラサキでなくムラサキシキブなのに気づく。派手さより野趣を好む気風か。見栄えより自然さを尊ぶ心を教えられる。(中沢麻貴)