牧師室より

 なんとなく雑事に追われているうちに、梅雨入りしてしまった。夏野菜の種蒔きや苗の定植が終らぬうちに雨がちな日々となりあせる。物価も上昇気味で、野菜の自給率アップという魂胆もある。何より自家栽培の新鮮な野菜は美味しい。

 昨年は大鉢でバジルを栽培したが、なぜか一本だけエゴマが生えて来た。数年前にエゴマを作った土だった。葉を薬味にするため茎を少し切り取ったが、葉を使った残りの茎を水に挿しておいたら根が出た。もったいないので鉢植えし、室内栽培したら、どんどん茂ってエゴマの葉使い放題となった。株が弱ってきそうになると再び挿し芽で更新できる。「無限エゴマ栽培」と悦に入る。葉を刻み、甘味噌と油で炒め、すりごまと合わせた「荏胡麻味噌」は何かと重宝する。室内栽培で虫喰いもなく、柔らかい葉がとれる。ほんの数株で花も咲かないので、エゴマ油はとれない。

エゴマを外で栽培していた年は、秋に結実すると、それを冬に雀たちが好んで食べた。柿の実など大量の餌を見つけると大騒ぎする鳥たちが、一声も発せず内緒のご馳走としてこっそり食べに来る。今年は、私が室内栽培に味をしめたので、雀たちに少し申し訳ないと思う。(中沢麻貴)