牧師室より

 経済学者の浜矩子氏が雑誌『ビッグイシュー』(VOL.428)で「パレート最適」(イタリアの社会学者ヴィルフレード・パレートが考案者)という概念を紹介していた。その論理を、二人の人が1本のワインを分かち合う様子から紹介していた。「底なしの飲酒者」と「グラス1杯のちょい飲み派」がいて、まずは「ちょい飲み派」がグラス一杯を確保し、残りを「底なし」が飲み、双方が満足できれば「パレート最適状態」。ところが「底なし」が悪酔いして、「ちょい飲み派」のワインまで飲んでしまったら「パレート不最適的状態」というのだそうだ。

 ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナは不当に奪われ続けているが、ロシアも奪ったことで失ったものが多く、「パレート不最適」になったという指摘だった。1日でも早い停戦を祈るばかりだ。   (中沢譲)