牧師室より

 ニュースで「マリウポリ」という地名をよく耳にするようになった。日本の76年前を記録した「焼け跡」写真と同じような光景のマリウポリの映像が報道され胸が痛む。

 「マリウポリ」とは、「マリアの町」という意味の地名だそうだ。18世紀の皇帝の妻マリアの名を冠した町。「ポリ」の語源は、ギリシャ語のポリス(都市国家)に由来する。イタリアの「ナポリ」は、「新しい町」つまりネオポリスという意味だ。スウェーデン第二の都市ヨーテボリは、綴りの頭文字はGで、ゴート人の町という意味。なんとかポリ(ボリ)という地名はヨーロッパ各地にある。

 一方、ロシア語地名で語尾が「スク」というのも「の街」を意味する。ハバロフスク、ミンスクなど。オホーツクも同じ系統の地名だ。ウクライナのルガンスクやドネツクも、そのような語源の地名なのだろう。あの国には、「ポリ」の文化の流れも、「スク」の文化の流れも混在しているのだと感じる。   (中沢麻貴)