牧師室より

 コロナ禍の中、困難な中での礼拝を継続している。教会が誕生した頃、イエスの弟子たちはどのように礼拝を守っていたのだろうかと思った。最初期の時代は、新約聖書は存在していない。おそらく、「旧約聖書」の朗読と「イエスの言葉」(口伝伝承)の証言が語られたのだと想像する。最初期の教会には、イエスの教えを直接聞いた人たちは多かっただろう。しかも語り部たちによって、その証言内容は少しずつ異なったのだと思う。残念ながら、その証言の多くは、現存していない。イエスの語り部たちは、「主の復活の証人」(使徒言行録1:22)と呼ばれた。4つの福音書は、その名残と言える。つたない証言者の群れが、教会を形づくっていった。困難な時代ではあっても、私たちに新約聖書というイエス証言が残された幸いを思う。

(中沢譲)