牧師室より

 三歳の保育園児の子どもにとって、六歳の小学一年生は、人生経験二倍の大先輩だ。周囲の人々にも、それは一目でわかる歴然とした差である。けれども、九十七歳と百歳では、同じ年の差三歳であっても、その人生経験の差は、わずか3%に過ぎない。周囲の人々が、一見してその年齢差を言い当てるのは至難の業である。

 足掛け三年に及ぶコロナ禍は、若い人ほどその社会経験、人生経験において、後に大きな影響を持つかもしれない。今までの社会では育たなかった何か新しいことが、そこから芽生えて来るかもしれない。これまでの人生経験から、参照するべきものを多く持っているはずの年配者は、良き萌芽を見いだして育てる責務を負っているのかもしれない。

 ウイルスとの戦いは続きそうだが、明らかに「後半戦」の様相を感じる。毎日を、変わらず愚直に感染対策をしつつ暮らすことは大切だ。そして、コロナ後の世界について考えることも必要だ。      (中沢麻貴)