牧師室より

 雑誌『ビッグイシュー日本版』の記事で、「ZINE」(ジン)という言葉を知った。紙媒体の出版物が不振にあえぐ、このネット隆盛の時代に、若い世代も含めて静かなブームになっているらしい。大手メディアの発行する雑誌(マガジン)ではなく、少部数で個人や小さいグループが発行するものがZINEだ。紙一枚だけのビラや新聞から小冊子までを含み、「書店での販売より個人間の交流や贈与を重視する(上掲の雑誌記事より)」。内容は、実に多様で趣味的分野、学術的な研究、社会問題への取り組み、共通のテーマでの交流の場など。このスタイルに自由さや多様性を感じ、自分にも作れる、自分も何かを発信してもいいんだ、と可能性を感じて作り始める人々が増えているらしい。ZINEをめぐって、地域での交流イベントのようなものも各地で行われるようになっているとか。ZINEの紹介記事を読んでいて、ふと思った。印刷数50部ほどの「説教プリント」も、ZINEなのだ。そう思ったら、苦行が少しだけ楽しくなった気がする。      (中沢麻貴)