牧師室より

梅雨の長雨は憂鬱を誘うが、屋上菜園では、インゲンが収穫期だ。二袋百円で種子を購入したうち、一袋が「つるなしインゲン」だった。プランターで育てて、すでに百本以上収穫し、じゅうぶん元は取れた。朝採りインゲンは、甘みと豆の香りが強く美味だ。インゲンの花粉は高温に弱く、これ以上気温が上昇すると収穫は終わる。荒川在住の頃も、教会の屋上でインゲンを栽培したが、緑が極端に少ない都市部なので、インゲンの白い花は、近所のスズメたちの格好のご馳走で、実る前にだいぶ喰われてしまったのを思い出す。港南台のスズメたちは、インゲンは横目で素通りし、放置プランターに生えた雑草群からエノコログサのタネを熱心にねらっている。エノコログサは、粟の原種とも推定されている野草なので、種子は鳥にはご馳走なのだろう。スズメが跳びついてついばむたびに飛び散る種子を見て、野草の種子散布戦略の巧みさに感心する。種子もう一袋の「オクラ」は、これから夏が収穫期だ。(中沢麻貴)